セッション情報 パネルディスカッション20(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

大腸EMR / ESDの現状と適応

タイトル 内PD20-10:

大腸ESD/EMRの適応病変に関する検討

演者 三谷 年史(虎の門病院・消化器内科)
共同演者 布袋屋 修(虎の門病院・消化器内科), 貝瀬 満(虎の門病院・消化器内科)
抄録 【目的】大腸腫瘍において従来の内視鏡的粘膜切除術(EMR)に加えて内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が保険収載され、それぞれの利点を生かした治療戦略が必要とされる。今回我々は大腸ESD/EMRの治療成績から適応病変について検討した。【方法】2010年に当院で10mm以上の大腸腫瘍に対し施行されたESD/EMRのうち、遺残再発例、切除断念例を除外した症例は338病変認めている。治療法は術者の技量で判断し、必要があれば拡大内視鏡や超音波内視鏡で精査後、EMR困難なものはESDを選択した。>30mmのEMR症例は認めなかったため10mm以上30mm以下の267病変(ESD70病変EMR197病変)を対象とした。二群間で一括切除率、一括完全切除率、偶発症率、局所再発率を比較検討した。大きさは10~,15~,20~,25~30に分け、肉眼形態は隆起型(Ip37例、Isp67例、Is37例)、平坦型(LST-G31例、LST-NG39例、IIa52例)、平坦陥凹型(IIc11例、IIa+IIc3例)に区分し検討した。【成績】全体の成績(ESD/EMR)は一括切除率98.6/88.8%(p=0.013)、一括完全切除率87.1/84.8%(p=0.629)、後出血5.7/1.5%(p=0.059)、穿孔例は認めなかった。局所再発は全てEMR症例(断端陽性例に2例、分割切除例に1例)に認めた。大きさ別では、一括切除率(%)は20mm以上のEMRで有意に低下し(100/96.1、95.2/85.7、100/66.7、100/33.3)、一括完全切除率(%)は25mm以上のEMRで有意に低下する(90.9/90.6、85.7/83.7、86.7/66.7、87.0/22.2)。肉眼形態を加味すると隆起型では切除率に差はなかった。平坦型のEMRは20mm以上では全例分割で有意に切除率が低下した。平坦陥凹型は全例20mm以下で少数であったが差はなかった。【結論】EMRは分割となる確率が高かった。しかし20mm以下では切除成績はほぼ同等で、処置の簡便さやコストを考慮すると術前精査で症例を選択すればEMRの対象として問題ないと考えられた。特に隆起型は症例によっては30mmまで適応となる可能性が示唆された。しかし20mm以上の平坦型では一括切除率が低く、ESDの適応とすべきと考えられる。
索引用語 大腸ESD, 適応