セッション情報 シンポジウム1.

食道・胃接合部腺癌とパレット腺癌の新展開

タイトル

S1-03 Barrett食道とBarrett食道癌のX線造影

演者 西隆之(東海大学消化器外科)
共同演者 幕内博康(東海大学消化器外科), 今井裕(東海大学画像診断学)
抄録 [目的]近年GERD症例の増加とともにBarrett食道癌の報告例が増えている.診断には肉眼で形態や色調を観察できる内視鏡検査が最も有用でルチーン検査として行われておりX線造影で詳細に検査され診断される機会は少ない.またBarrett上皮・Barrett食道癌に対するX線造影のまとまった報告は症例数の多い欧米でも少なく本邦ではほとんどない.当科のBarrett食道癌症例を対象にBarrett上皮およびBarrett食道癌のX線像を検討した[方法]当科で扱ったBarrett食道癌32例のうちX線造影と内視鏡検査を対比できた20症例22病巣を対象としBarrett上皮・Barrett食道癌の描出につき検討した.造影方法は通常の嚥下によるものに加え寝台を傾斜し食道裂孔ヘルニアを利用して造影剤を胃から食道へ逆流させた.さらに経鼻チューブを用いて空気量を調節し食道粘膜を前後壁に分けて連続撮影で二重造影像を撮影した.[結果]Barrett粘膜はX実像で微細な穎粒あるいは網目模様として描出され食道扁平上皮とは異なる粘膜模様を示していた.その描出能はX線像が検討出来た20例中17例(85%)で描出可能であった.扁平上皮と円柱上皮との境界は20例中17例で描出可能であったがtSCJが一線を画して描出できない症例もあった.Barrett食道癌は22病巣中20病巣(91%)の描出が可能であった.描出できなかった症例はいずれも下部食道に全周性の狭窄があり充分な二重造影像が得られなかったものであった.[まとめ](1)Barrett粘膜は85%Barrett食道癌は91%の描出率であった(2)裂孔ヘルニア合併例では嚥下による撮影に加え造影剤を逆流させる方法が有用であった.(3)空気量の調節は経鼻チューブを用い食道を前後壁に分けて連続撮影にて二重造影像を撮影することが肝要である。
索引用語