セッション情報 シンポジウム1.

食道・胃接合部腺癌とパレット腺癌の新展開

タイトル

S1-04 食道腺癌高危険群のバレット食道における病態因子の解析

演者 秋山純一(国立国際医療センター消化器科)
共同演者 小早川雅男(国立国際医療センター消化器科), 上村直実(国立国際医療センター消化器科)
抄録 【目的】パレット食道(BE)では発癌予防の観点から上皮細胞増殖の抑制のために食道内酸逆流の正常化が重要と考えられている.BEの治療としてプロトンポンプ阻害薬(PPI)が汎用されているがBEではPPI投与にも関わらず異常酸逆流が持続する症例が多いことが報告されている.食道腺癌の高危険群であるBEの病態を明らかにすることを目的とした.【方法】対象はGERD患者51例(女2663.3歳).常用量PPIの8週間投与前後において症状調査内視鏡検査pHモニタリングを施行.柵状血管下端をEGJと定義しパレット粘膜の最長部の長さにより3群(N群:1cm未溝SS群:1cm以上3cm未満LS群:3cm以上)に分類し病態を比較検討した.【結果】1)N24例SS 19例LS 8例.年齢に差はなかったがしS群において男性が多くt食道裂孔ヘルニアの合併が多かった.2)PPI投与前:各回の症状スコアおよび食道炎重症度には有意差は認めなかったが食道内酸逆流はLS群において高値である傾向が認められた.3)PPI投与後:胸やけ症状内視鏡的食道炎酸逆流は全て有意に改善.四壁において症候性難治はほぼ同率であったが内視鏡難治と酸逆流難治はLSで高い傾向が認められた(症候性:N17%SS 21%LS l3%内視鏡:8%5%25%酸逆流:20%21%50%)酸逆流難治に関与する要因として単変量解析では若年食道裂孔ヘルニア合併H.pylori非感染LSなどが抽出されたが多変量解析では食道裂孔ヘルニア合併のみが独立する有意な因子であった.【結論】パレット食道は円柱上皮化粘膜長により異なる病態を有していた.特にLSBEや食道裂孔ヘルニア合併例においては高容量PPIや逆流防止術など個別化した治療戦略が求められる可能性が示唆された.
索引用語