セッション情報 シンポジウム1.

食道・胃接合部腺癌とパレット腺癌の新展開

タイトル

S1-08 バレット粘膜・バレット食道癌におけるgeneticおよびepigeneticな異常とHelicobacter pylori感染との関連についての検討

演者 盛一健太郎(旭川医科大学消化器・血液腫瘍制御内科)
共同演者 渡二郎(釧路市医師会病院消化器内科), 高後裕(旭川医科大学消化器・血液腫瘍制御内科)
抄録 【目的】パレット粘膜(BE)・パレット食道癌(BE-Ca)における分子異常を明らかにすることを目的にゲノム不安定性(GIN)とhMLHIE-cadherinp16のプロモーター領域におけるメチル化の頻度について検討しこれら分子マーカーとHelicobUcter pylori(HP)感染との関連性について解析した.【対象と方法】通常内視鏡観察で食道下端の柵状血管網より生検を行った.早期BE-Ca例(n冨8)と特殊腸上皮化生(SIM)を認めた症例(BE群n=96)からLCM法でDNAを抽出しBethesda panelに準じた5つのマーカーを用いMSIとLOHを検討した.またDNAを二硫化処理後Methylation spe・cinc PCRを行いhMLH1E-cadherinpl 6のプロモーター領域におけるメチル化を評価した.SIMを認めないBE(n=14)を対照群とした.【成績】1)GINE-cedherinのメチル化の頻度はBE群BE-Ca群で対照群に比較し有意に高率であった(p〈OOOIp<O.OOO5). pユ6は卵白問で有意差を認めなかった。2)HP陽性例でのGINE-cadherinのメチル化の頻度は陰性例に比べ有意に高かった(p<0.005p<0.0001).p16のメチル化はHP感染の有無で差を認めなかった.3)hMLHIのメチル化の頻度はMSI陽性群で有意に高かった(p<0.01).4)HP除菌療法を施行したGIN陽性のBE5例中3例でGINは安定化しE-cadherinのメチル化陽性6例中3例でメチル化の改善を認めた. p16は除菌前後で変化はなかった.【結論】SIMにおけるGINおよびE-cadherinのメチル化はBE-Caの発癌過程において早期にpエ6のメチル化は後期に出現すると考えられた.またGINとE-cadherinのメチル化はHP感染と関連し除菌療法は一部のBE-Caの発癌を抑制する可能性があると考えられた.
索引用語