セッション情報 シンポジウム1.

食道・胃接合部腺癌とパレット腺癌の新展開

タイトル

S1-10 Granulocyte Macrophage Colony Stimulating Factor導入癌ワクチンよるバレット腺癌進展への予防

演者 宮下知治(金沢大学消化器・乳腺外科)
共同演者 藤村隆(金沢大学消化器・乳腺外科), 太田哲生(金沢大学消化器・乳腺外科)
抄録 【目的1欧米ではパレット食道患者の腺癌への進展の予防が検討されている.我々は独自に確立したラットの十二指腸液逆流による食道発癌モデルから20週目以降にパレット食道が出現することを確認している.このモデルより樹立した食道癌細胞株にGM一・CSFを遺伝子導入しワクチンを作成した.今回このGM-CSF産生ワクチンの有用性を検討した.【方法】Sprague Dawleyラットを用いて十二指腸食道逆流モデルを作成し9ヶ月後に腫瘍より食道癌細胞株を樹立した.観察期間中発癌剤は投与していない.この細胞株はマイクロアレーにてヒト食道癌細胞株と特徴が類似しておりまたMHC classlの発現を確認している.この細胞株にelectro-poration法にてGM-CSFを遺伝子導入しELISA法にて55ng/24hr/1 x 106個のGM-CSFの産生を確認したこのGM-CSF産生癌細胞株を照射後ワクチンとして用い以下の実験を行った.1.ワクチン群では1×107個の照射GM-CSF産生癌細胞株を対照群ではPBSをそれぞれ3肢に注射し1週間後に1.5×107個の癌細胞をMatrigelとともに背側皮下に移植し移植部での免疫反応を経時的に観察した2.十二指腸食道逆流モデルを作成後2群に分け術後20243034週目にワクチンあるいはPBSを同様の方法にて投与した.術後40週目に屠殺し食道を観察したb【結果】1.対照群では移植片の増殖が認められたがワクチン群では増殖が有意に抑制された.また免疫染色にてワクチン群で多数のCD8およびCD4陽性細胞が腫瘍の周囲に誘導されていることが確認された.2.ワクチン群16例対照群23例が40週まで生存した.対照群では23例中17例(74%)に食道癌が認められた一方ワクチン群では16例中6例(38%)でワクチン群では対照群に比べて発癌率が有意に低率であった(p<0.05).【結論IGM-CSF遺伝子導入癌ワクチンが食道癌への進展を予防する可能性が示唆された.今後はパレット患者に対する発癌予防や術後の化学療法との併用など臨床応用が期待される
索引用語