セッション情報 シンポジウム2.

低用量アスピリンと消化管病変

タイトル

S2-01 当院での低容量アスピリン使用による上部消化管病変の疫学調査

演者 田村勇(三木市民病院消化器科)
共同演者 東健(神戸大学付属病院消化器内科)
抄録 【目的】日本人の胃酸分泌は欧米人に比較して低いので欧米からのアスピリンの上部消化管粘膜障害の報告を参考にするには不十分である可能性がある.よって現状について日本人を対象とした我が国独自の疫学調査が必要である.今回我々は当院循環器内科領域での低容量アスピリン使用と併用薬による上部消化管病変を上部消化管内視鏡で確認し疫学を明らかにすることを目的とした。【方法】2005年12月1日から2006年11月30日までに当院循環器内科で低容量アスピリンが処方された患者1970例の内上部消化管内視鏡検査を施行した442例について薬剤と病変との関係を検討した.【結果】症例442例は平均年齢6&7歳(27歳から97歳)男性275例女性167例.バイアスピリンのみ(以下A)処方が173例プロトンポンプ阻害剤との併用(以下P併用)が99例ヒスタミンH2受容体拮抗薬との併用(以下H併用)が108例その他の防御因子増強薬の併用(以下0併用)が62例.上部消化管内視鏡病変は出血性病変8例胃潰瘍38例十二指腸潰瘍7例びらん性病変94例合計147例(約33.3%)を認めた投与薬剤による内訳は出血性病変(A:3/P併用:0/H併用11/0併用:4)胃潰瘍(10/16/6/6)十二指腸潰瘍(0/1/4/2)びらん性病変(41/21/23/9)であった.【結論】バイアスピリンにより333%の上部消化管病変を認めた.Serranoの報告によるとアスピリン長期服用により年1%余りの割合で消化管出血が生じると報告されているが当院ではし8%と高値となった.大学施設という環境によるバイアスとサンプルサイズが小さかったことが原因である可能性がある.今後はさまざまな病院規模での症例集積により本邦での疫学調査を進める必要があると思われた.
索引用語