セッション情報 |
シンポジウム2.
低用量アスピリンと消化管病変
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タイトル |
S2-03 低用量アスピリンによる重篤な上部消化管障害の特徴と予防
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演者 |
石川茂直(香川県立中央病院消化器内科) |
共同演者 |
稲葉知己(香川県立中央病院消化器内科), 河合公三(香川県立中央病院消化器内科) |
抄録 |
【目的】低用量アスピリンによる胃・十二指腸潰瘍の出血と穿孔の特徴と適切な予防を検討する.【方法】(検討1)対象は2000年1月から2006年12月の7年間に当院で吐下血にて緊急内視鏡止血術を施行した(重篤な出血と定義)胃・十二指腸潰瘍出血228例と胃・十二指腸潰瘍穿孔42例.発症時のNSA】])s使用の有無によりtNSA皿)s群と非NSAIDs群に分けさらにNSAIDs群を低用量アスピリン非アスピリンに分けて検討した.(検討2)2003年1月から2年間に新たに低用量アスピリンが投与された患者1734例に対して潰瘍既往のある患者には酸分泌抑制剤(H2RA半量を中心としたPPI)を併用投与し重篤な出血と穿孔の頻度を前向き検討した.【成績1(検討1)穿孔は42例で胃潰瘍11例、十二指腸潰瘍31例であり非NsAn〕s群が32例でNsAIDs群が10例(胃潰瘍5例)で低用量アスピリン群に穿孔は認めず.重篤な出血は228例中非NSAIDs群が121例(53.1%)NSAIDs群が107例(46.9%)低用量アスピリン群は35例(15.4%).低用量アスピリン出血例を解析すると内視鏡止血は全例可能も基礎疾患の悪化で3例(8.6%)が死亡し非アスピリンNSA]Ds群と比較して開始から出血までの期間が有意(p<0.Ol)に長かった(検討2)追跡評価可能は1657例(95.6%)観察期間は7ヶ月から30ヶ月.潰瘍既往者は98例(5.9%)で酸分泌抑制剤は73例(74.5%PPI 24例H2RA 49例)に併用投与され出血は認めず.3例(0.18%)の出血例は非潰瘍既往者であり2例に粘膜保護剤1例は併用薬なしであった、低用量アスピリンによる出血性潰瘍発生率は2.65/1000人年(95%CI 2.56-274)であり穿孔例は認めなかった.【結論】低用量アスピリンは穿孔のリスクは高くないが出血は基礎疾患の悪化により致命的になりうる潰瘍既往者に対する酸分泌抑制剤の併用投与は出血予防に一定の効果が期待されるが完全ではなくより適切な患者管理に関する検討が必要である. |
索引用語 |
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