セッション情報 シンポジウム2.

低用量アスピリンと消化管病変

タイトル

S2-05 低用量アスピリン内服者における胃潰瘍の特徴

演者 吉田岳市(国立国際医療センター消化器科)
共同演者 櫻井俊之(国立国際医療センター消化器科), 秋山純一(国立国際医療センター消化器科)
抄録 【目的】高齢化と生活習慣病の増加により脳梗塞心筋梗塞に対して低用量アスピリン(LA)を用いる機会が増えている. LA常用者における上部消化管粘膜障害に関する報告が次第に増加しているがその実態については不明な点も多い今回我々はLA潰瘍の実態を明らかにするために}工pylori(Hp)感染およびNSAID潰瘍との関連を含めて検討した.【方法】2004年1月から2007年3月までに上部消化管内視鏡検査で胃潰瘍と診断された503例(平均年齢65歳女165)を対象とした.LA潰瘍NSAID潰瘍を背景胃粘膜のHp感染の有無により分けHp潰瘍とあわせて5群で山群を比較検討した.さらに同時期にLA常用者に対してスクリーニング目的で施行された内視鏡検査結果についても検討した.【結果】1)Hp陰性LA潰瘍群Hp陽性LA潰瘍群Hp陰性NSAID潰瘍群Hp陽性NSAID潰瘍群Hp潰瘍群の症例数はそれぞれ15例(67歳女7)50例(72歳女12)25(65歳女14)62例(67歳女25)351例(62歳女107)であった.2)潰瘍発症までの内服期間はTHp感染の有無に関らずLA潰瘍群はNSAID潰瘍群に比べて長期間内服例が有意に多かった予防的PPI内服の頻度は各群で同等であった.3)Hp陰性LA潰瘍群はHp陰性NSAH)潰瘍群と比して年齢性別出血の頻度潰瘍の胃内分布多発性に有意差を認めなかったが腹部症状の頻度が有意に少なかったHp陽性LA潰瘍群はHp陽性NSAID潰瘍群と比して有意に高齢で男性に多い傾向を認めた4)Hp陽性LA潰瘍群はHp潰瘍群と比して出血の頻度に差を認めないが有意に高齢で腹部症状が少なく前庭部に多く多発性である事が多かった。4)LA常用者での胃潰瘍発症の頻度は非常に少なかった.【結論】LA常用者の中での胃潰瘍発症は少なかったがLAによる胃潰瘍はNSAID潰瘍及びHp潰瘍とは異なる臨床的特徴や病態を有する事が示唆された.
索引用語