セッション情報 シンポジウム2.

低用量アスピリンと消化管病変

タイトル

S2-06 低用量アスピリンの併用が与える長期NSAID服用者における消化性潰瘍発症への影響

演者 三宅一昌(日本医科大学消化器内科)
共同演者 楠正典(日本医科大学消化器内科), 坂本長逸(日本医科大学消化器内科)
抄録 【目的】関節リウマチ(RA)患者における消化性潰瘍(PU)の発症には非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)の長期使用に加えNSAID重複(経口と座薬など)「寳tステロイド(PSL)やストレスなど複数の要因が関与している.高齢化社会を迎え心血管疾患の1次・2次予防として低用量アスピリン(ASA)の使用が急速に広まりPUや潰瘍出血の増加が懸念されている.NSAID起因性PUの発症に関わるとされる危険因子の一つにNSAIDの重複がある.しかしながら長期NSAID使用するRA患者においてASA併用がもたらすPU発症への影響については明らかではない.【方法】当院に3ヶ月以上通院中のRA患者を対象に上部内視鏡検査を用いた実態調査を行った、NSAID・ASAをいずれも服用していない28例をコントロール(C群)としてNSAID3ヶ月以上服用者はASA以外のNSAID(N群171例)NSAIDにASAを併用(N+A群14例)ASA以外のNSAID重複(N+N群19例)の計4群に分けて解析した.抗潰瘍薬はH2RAPPIまたはPG製剤とした. PUは明確な境界を有する3mm以上の粘膜欠損とし潜在的な出血の有無は貧血の程度(HbMCVMCHC)により評価した.【結果】4群間において背景因子である年齢性別RA罹病期間PU既往Hρylor歪感染PSLおよび抗リウマチ薬使用頻度にいずれも有意差は見られなかった.PU有病率はC群N群N+A群N+N群で各々0%21%14%および32%でありN群およびN+N群はC群と比べ有意に高率であった(それぞれP<0.01)貧血の程度は4山間にいずれも有意差はみられなかった.【結論】長期NSAID服用RA患者においてASA以外のNSAIDの重複はPUのリスクを高めるがASAの併用はNSAID単剤によるリスクを上回らないと思われた.
索引用語