セッション情報 シンポジウム2.

低用量アスピリンと消化管病変

タイトル

S2-07 低用量アスピリンによる消化性潰瘍の危険因子予防薬についての検討

演者 河野孝一朗
共同演者 飯塚敏郎(虎の門病院消化器内科), 矢作直久(虎の門病院消化器内科)
抄録 【目的】低用量アスピリン(L-Asp)は抗血小板を有するため他のNSAIDsと異なり動脈血栓性疾患の予防目的で使用されそれに伴う消化性潰瘍が重大な問題となっている.そこで消化性潰瘍出血性潰瘍の危険因子予防薬を明らかにすることを目的に検討を行った.【方法】2003年12月1日から2005年12月31日の25ヶ月間に上部消化管内視鏡検査を受けた30850人のうちL-Aspを常用していた1215人を対象とし消化性潰瘍群出血性潰瘍群コントロール(消化性潰瘍なし)群の3群に分けL-Asp潰瘍の危険因子予防薬について多変量:解析を用いてretrospectiveに検討した.【成績】消化性潰蕩群は94人で男性72人(77%)女性22人(23%)年齢は69±11歳(36-93歳).出血性潰瘍群は22人で男性18人(82%)女性4人(18%)年齢は70±11歳(47-90歳).コントロール群は1121人で男性825人(74%)女性296人(26%)年齢は69±10歳(28-93歳).3群間において年齢性別に有意差を認めなかった.消化性潰瘍の危険因子として糖尿病(オッズ比:95%信頼区間(以下省略)=2.5:L5-4.0)潰瘍の既往(4.1:25-6、7)抗血小板薬(4.1;2.5-67)他のNSAIDs(&4:3.5-20.0)の併用で有意差を認めた.出血性潰瘍の危険因子として潰瘍の既往(5。3:2か14.1)抗凝固薬(4.0:1.1-13.7)他のNSAID(129:2.1-77.O)ステロイドの併用(7.3:1.3-28D)でそれぞれ有意差を認めたL-Aspによる消化性潰瘍に対してPPI(0.1:0.O{.7)H2RA常用量(02:0.1-0.6)粘膜防御薬(0.5:0.2-1ρ)で有意差をもって消化性潰瘍の予防効果を認めた.L-Aspによる出血性潰瘍ではPPI(0.0:0.O一)H2RA(0.0:0.0一)で有意な予防効果を認めた.【結論】潰瘍の既往糖尿病抗血小板薬抗凝固薬sステロイド他のNSAIDsの併用がL-Asp潰瘍の危険因子としてあげられた.またPPIH2RA(常用量:)粘膜防御薬がレAsp潰瘍の予防に有効性が認められた.本研究により本邦におけるL-Asp潰瘍の危険因子予防薬を明らかとした.
索引用語