セッション情報 シンポジウム2.

低用量アスピリンと消化管病変

タイトル

S2-10 低用量アスピリン内服中の患者における上部消化管粘膜障害と消化器症状の検討

演者 井上雅文(岡山大学消化器・肝臓・感染症内科)
共同演者 岡田裕之(岡山大学消化器・肝臓・感染症内科), 草野研吾(岡山大学循環器内科)
抄録 【目的】循環器疾患を有する患者の低用量アスピリン内服による上部消化管粘膜障害と消化器症状の閲連を検討した.【方法】対象は当院循環器内科通院中で低用量アスピリンを8週以上内服している患者でアスピリンは休吟せず上部消化管内視鏡を施行した.消化管粘膜障害はmodified Lanza Scale(MLS)を用い患者の消化器症状はGastrointestinal Symptom Rating Scale(GSRS)質問票を用いて酸逆流腹痛消化不良下痢便秘の項目で評価した.消化管粘膜障害を有しプロトンポンプ阻害剤(PPI)を服用していない患者には同意を得た上でランソプラゾール15mg/dayを8週間投与し再度内視鏡検査とGSRS問診を行い比較検討した.【結果】対象は61症例.生活歴併用薬剤年齢性別について粘膜障害予防する因子を検討したところ胃においてPPI内服が有用であった(ロジスティック解析:p=0.006).内視鏡上粘膜障害を有する群と有さない群ではGSRS比較において差は認めなかった.胃のMLS値とGSRS値の相関性を検討したが有意な相関は認めなかった.胃粘膜障害を有する12症例にランソプラゾール15mgを投与した.投与終了後の内視鏡検査では胃MLS値は有意に改善していた(p=α002)がGSRS値は各項唱いずれも殴込差のある改善は認めなかった.【まとめ】低用量アスピリン内服患者において上部消化管粘膜障害と消化器症状に相関性は認められなかった.低用量アスピリンによる胃粘膜障害の予防にはPPI内服が有用であり低用量ランソプラゾール15mg投与は粘膜出血びらん等の粘膜障害改善に効果を示した.【結語】上部消化器粘膜障害を有していても症状が軽微な可能性も有るため症状の有無に関わらず非ステロイド性抗炎症薬による潰瘍発症リスクの高い患者は上部内視鏡検査にて確認するかPPI投与を検討することが望ましい
索引用語