セッション情報 シンポジウム2.

低用量アスピリンと消化管病変

タイトル

S2-11 低用量アスピリンによる上部消化管病変とその臨床背景の検討

演者 富本彩子(横浜市立大学・分子消化管内科)
共同演者 遠藤宏樹(横浜市立大学・分子消化管内科), 松橋信行(NTT東日本関東病院)
抄録 【背景1わが国における低用量アスピリンでの消化管粘膜障害に関してのevi-denceは極めて乏しい.近年循環器や神経内科領域での処方される患者数は高齢化社会を背景に増加の一途であり消化管出血の合併症などその対策は急務である.消化管出血をきたした患者の解析は多くなされているがその前病変としての低用量アスピリン投与患者の臨床背景や消化管粘膜病変の知見は乏しい.【目的】当科および関連8施設での低用量アスピリン投与患者の上部消化管内視鏡およびカプセル内視鏡における消化管粘膜障害の程度と頻度を明らかにする.1方法】低用量アスピリン服用中の患者1015人の上部内視鏡所見による胃粘膜障害の程度(modified Lanza score)と症状(GSRSスコアー)背景疾患〔HPy-loriの有無年齢脳梗塞心疾患などの既往〕などの解析を行った.また低用量アスピリン服用中の患者28人のカプセル内視鏡所見の解析と臨床背景を解析した.【結果】上部消化管内視鏡では65%に何らかの胃粘膜障害を認めた〔ulcer11%erosion 54%Lanza scorel.8〕。検査目的はスクリーニング(25%)貧血(20%)などが多かった背景疾患は脳梗塞(TIA含む)49%心疾患36%腎疾患8%であった.40%の患者では胃薬が何も投与されていなかった.PPIが投与されていた患者302人の内視鏡所見では胃潰瘍は2%びらん性胃炎を37%にみとめたカプセル内視鏡では患者計28症例平均年齢:63.6歳カプセルの盲腸到達率:75.0%既往としてAf心筋梗塞脳梗塞慢性腎不全が多かった.カプセル所見:ulcer 3例sma皿ulcer/erosion 14例angiodysplasia 3例bleed・ing 2例SMT/tumor 2例other 2例小腸観察不可1例解析未1例であった.【考察】消化管出血のエピソードが無い低用量アスピリン服用患者の上部消化管粘膜障害の頻度と臨床的背景を解析した.検討患者数が少ないものの小腸病変を高率に認めた.今後は特にカプセル内視鏡での知見の蓄積が必要と思われた.
索引用語