セッション情報 シンポジウム2.

低用量アスピリンと消化管病変

タイトル

S2-13 大腸憩室出血における低用量アスピリンの影響

演者 山田篤生(東京大学消化器内科)
共同演者 山地裕(東京大学消化器内科), 小俣政男(東京大学消化器内科)
抄録 【目的】大腸憩室症の有病者は多くそのほとんどは無症状であるが時に出血をきたし重篤となる場合がある.大腸憩室出血の危険因子の報告は少なく非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)内服との関係が示唆されているものの十分な検討がなされていない.本研究では大腸憩室出血におけるNSAIDsと低用量アスピリンまた動脈硬化関連因子の影響について検討した【方法】1995年9月より2005年12月までに東京大学医学部附属病院及び関連施設において施行された下部消化管内視鏡9499例について検討を行.つた.〔検討1〕大腸憩室出血例を対象に重症化に影響する因子について検討した.〔検討2〕大腸憩室症の非出血例より年齢性別憩室分布を’一致させた症例を対照群として抽出し大腸憩室症における出血の危険因子を検討した.【結果】大腸憩室症は1753例でありうち大腸憩室出血は44例であった.〔検討1〕Hb<10 g/d1または輸血を必要とした重症例は17例(39%)にみられた.非重症例と比較し重症例に低用量アスピリン内服者が多かった(8/17例(47%)vs.4/27例(15%)p=0.04). NSAIDsでは差がなかった(4/17例(24%)vs.3/27例(11%)p;0.40).〔検:討2〕対照群88例と比較して出血群にNSAIDs内服(7/44例(16%)vs. 2/88例(2%)p=O.02)低用量アスピリン内服(12/44例(27%)vs.9/88例(10%)p = O.02)高血圧症(35/44例(80%)vs.40/88例(45%)p<0.01)が有意に多かった.【結論】低用量アスピリンは大腸憩室出血の危険因子であり出血量が多くなることが示唆される.
索引用語