セッション情報 |
シンポジウム2.
低用量アスピリンと消化管病変
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タイトル |
S2-14 低用量アスピリン服用による大腸病変のcase control study
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演者 |
澁谷智義(順天堂大学医学部消化器内科) |
共同演者 |
大草敏史(順天堂大学医学部消化器内科), 渡辺純夫(順天堂大学医学部消化器内科) |
抄録 |
【背景】我々はNSAIDs服用後に発症した大腸病変をNSAIDs起因性大腸病変としその発生リスクがNSAIDs長期服用群では非服用者と比べ2.04(95%CI:1.10-3.75)と有意に高いことを報告してきた.近年NSAIDsの中でも虚血性心疾患や脳血管障害の再発予防に対し低用量アスピリンの長期服用患者が増加している.そこで今回我々は低用量アスピリン服用患者における大腸病変をcase controlstudyとして解析したのでここに報告する.【方法】対象は当科で2004年1月~2006年12月目大腸内視鏡検査を施行した症例である.その内アスピリン以外のNSAIDs服用症例炎症性腸疾患細菌性腸炎放射線性腸炎などを除外した5963例を大腸炎群(199例)と非大腸炎群(5764例)の2群に分けcase control studyを施行した.それらの内視鏡所見罹患範囲基礎疾患などを検討しロジスティック回帰分析出でオッズ比を解析した【結果】大腸病変は低用量アスピリン服用者589例中27例(46%)非服用者5374身中172例(3.2%)に認めた.大腸炎群(199例)中低用量アスピリン服用者は27例(136%)であった.これらの症例の服用期間は0.5年~20年(平均5、8年)で内視鏡所見は潰瘍13例びらん12例と発赤2例であった.罹患部位としてはS状結腸11例下行結腸8例直腸8例バウヒン弁3例上行結腸2例横行結腸2例の順でS状結腸下行結腸が多かった.ロジスティック回帰分析によるオッズ比は低用量アスピリン服用群全体では1.96(95%CI:1.27-3.02p=0.003)と有意に高かった男女分に分析すると男性は1.58(95%CI=0.89-282p=0.122)と有意差は認められなかったが女性では2.71(95%Cl:1.40-5.24p=O.003)と;有意差を認めた.【結論】低用量:アスピリン服用者では特に女性で非服用者と比較し大腸潰瘍を主とした大腸病変が多く発症することが判明した.アスピリン服用患者は今後も増加するこ之が考えられ胃・十二指腸潰瘍ばかりではなく大腸病変にも注意する必要性があると考えられた. |
索引用語 |
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