セッション情報 シンポジウム3.

H.pylori除菌治療の適応拡大

タイトル

S3-01 学校検診におけるヘリコバクター・ピロリ感染症スクリーニング検査導入の試み

演者 赤松泰次(信州大学内視鏡診療部)
共同演者 金子靖典(信州大学消化器内科), 須澤兼一(信州大学消化器内科)
抄録 【目的】Helicobacter pylori(以下HP)感染は本邦の人ロの約半数に認められることから感染者全員に除菌治療を行うことは医療経済上不可能である.しかし若年者での感染率は低く若年者をターゲットにしてHP感染のスクリーニング検:査を行い陽性者に対して除菌療法を行えば効率のよい疾病予防が可能と考えられる.以上のことから学校検診にHP感染のスクリーニング検査を導入することを提案してきたが本研究の目的は学校検診にHP検診を導入する方法論の確立と有用性の評価を行うことである.【対象と方法】長野県内の某高校の2年生を対象とし学校検診で提出される尿を用いて尿中抗Hpylori抗体検出用試薬(RAPIRUN⑪)によりHP感染のスクリーニング検査(1次検診)を行った.陽性者は学校医を通じて本人と父兄に連絡し2次検査を受けるように指導した2次検診は内視鏡を用いて培養法と免疫染色による鏡検法で行った.2次検診で陽性となった症例は本人と父兄の希望に従って除菌療法を行った.【結果】1、414人中1次検診を受けたのは409人(男190人女219人)でtそのうち陽性者は14人(3.4%)であったt内訳は男5人(2.6%)女9人(4.1%)で有意差はないものの女の方が陽性率が高い傾向がみられた.21次検診陽性者14人掛これまでに2次検診が終了している症例は5人でいずれもHP感染を認めた.1例は貧血を認め他の2例は血清鉄の低下を認めた。内視鏡所見は全例に鳥肌状胃炎を認め1例に十二指腸潰瘍他の1例に十二指腸炎を認めた.萎縮の程度はC-13人C一皿人C-m1人であった.3.2次検診でHP感染が確認された5例は本人と父兄の希望に従って全例除菌治療を行った.【結論】尿中抗H pylori抗体検出用試薬を用いたHP検診はコスト労力被検者の負担陽性率などの点で学校検診に組み込むことが可能と考えられた.今後逐年的に実施するとともに除菌を行った症例の経過観察を行ってその有効性を明らかにしたい.
索引用語