セッション情報 シンポジウム3.

H.pylori除菌治療の適応拡大

タイトル

S3-02 H.pylori除菌治療の小児への適応拡大

演者 中山佳子(信州大学小児医学講座)
共同演者 日高奈緒(信州大学小児医学講座), 堀内朗(昭和伊南総合病院消化器内科)
抄録 【目的】現在の保険制度ではH. rylσri(Hp)感染検査は消化性潰瘍の確定例に限られており内視鏡検査が容易でない小児では日常診療での制約が大きい.さらにPPIは「小児に対する安全性は確立していない」とされ必然的に小児の除菌治療はオフラベル使用である.小児の消化性潰瘍の診断において内視鏡検査前の非侵襲予防p感染診断の果たす役割また除菌治療の有効性と安全性につき検討した.【方法】検討1:対象は2001年7月以後にHp感染を伴う消化性潰瘍と診断した8例(男子50%年齢平均122歳).非侵襲的Hp感染診断後に潰瘍と診断した群(A群)と内視鏡検査で潰瘍の診断後にHp感染を確認した群(B群)において初診時の主訴医療機関初診から潰蕩診断までの期間を検討した.検討2:2001年から2007年までに同意の得られた55例(男子44%平均年齢13.4歳7~21歳)にPPIと抗生剤2剤による除菌治療を59回施行した.除菌率除菌の有効性副作用を検討した【成績】検討1:A群はDU4例GUl例.DUの主訴は反復性腹痛または鉄欠乏性貧血で初診から1~2ヶ月で潰瘍と診断した.GUの1例はHp保菌者として経過観察中に軽い上腹部痛を訴え7日後の内視鏡検査でGUと診断した.一方B群はDU3例.メレナと急性腹症で緊急入院した2例はJ同日に内視鏡検査を施行した.他の1例は腹痛が反復し小児科や心療内科など複数の医療機関を受診していたが潰瘍の診断に2年を要し発育障害を伴っていた.検討2:除菌率はPPで91%ITTで86%.潰瘍症例は全例で除菌後に症状の改善と再発が予防され慢性胃炎の7割で消化器症状あるいは貧血の改善を得た.副作用は14%に認めたが葦麻疹(1例治療中止)吐き気下痢などで治療終了後に改善した.【結論】非侵襲的Hp感染検査は症状のある小児において消化性潰蕩診断の契機となる有用な検査法である.また小学生以上の小児においてHp除菌治療は成人同様に有効で安全な治療であった.今後小児への保険適応拡大を強く希望する.
索引用語