セッション情報 |
シンポジウム3.
H.pylori除菌治療の適応拡大
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タイトル |
S3-03 腹部症状に対するH.pylori除菌の有用性
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演者 |
高木貴久子(北海道大学大学院消化器内科学) |
共同演者 |
加藤元嗣(北海道大学病院光学医療診療部), 浅香正博(北海道大学大学院消化器内科学) |
抄録 |
【目的】腹部症状は日常生活に支障をきたすことがあるためその改善はQOLの向上に寄与する.これまで機能性ディスペプシアへの除菌効果は検討されているが治癒期の消化性潰瘍患者などでは器質的疾患と直接結びつかない腹部症状を有する患者も多い.そこで腹部症状を有するHpylori感染症に対する除菌の有用性について腹部症状を定量的に評価できるGSRS(Gastrointestinal Symptom Rating Scale)を用いて検討した.【方法】当科でLL四1碗陽性で除菌治療がなされ除菌前後でGSRSによる検討が可能であった310例を対象としたGSRSは除菌前および除菌判定時の1ヶ月後(除菌結果が判明する前)に自己記入式問診で行なわれた.除菌の判定は迅速ウレアーゼ試験培養鏡検尿素呼気試験などの複数検査で陰性のとき除菌成功とした.【結果】除菌の対象となった疾患は潰瘍例113例(胃・十二指腸潰瘍活動期・治癒期94例胃MALTリンパ腫19例).非潰瘍例197例(胃・十二指腸潰瘍搬痕期115例早期胃癌治療後7例過形成性ポリープ28例胃腺腫7例特発性血小板減少性紫斑病8例結節性胃炎7例慢性胃炎25例)であった.310例のうち除菌成功例は252例除菌失敗例は58例であった.除菌に失敗した症例ではすべてのスコアで除菌後に有意な改善がみられなかった.除菌に成功した症例ではGSRSの酸逆流腹痛消化不良下痢便秘の5つの下位尺度すべてで有意なスコアの低下を認めた.除菌成功例のうち潰瘍例95例では5つの下位尺度で有意なスコアの低下がみられたが非潰瘍例157例においても除菌前後で酸逆流(1.662±0.899→1.528±0.76P<10.05)腹痛(1.7M±O.948→1.524±O.774P<O.Ol)などの症状の改善が認められた.【結論】H. pylori除菌に成功した症例では腹部症状の改善が期待される.非潰瘍例で腹部症状のある症例では除菌治療を試みてもよいと考える. |
索引用語 |
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