セッション情報 シンポジウム3.

H.pylori除菌治療の適応拡大

タイトル

S3-04 胃過形成性ポリープに対するH.pylori除菌治療-除菌効果と長期成績-

演者 光藤章二(京都府立医科大学消化器内科学)
共同演者 小西英幸(京都府立医科大学消化器内科学), 若林直樹(京都府立医科大学消化器内科学)
抄録 【背景】われわれはポリペクトミー材料および外科的摘出材料を用いて胃過形成性ポリープのS期細胞をbromodeoxyuridine(BrdU)により標識しその増殖解析を行い病変の本質は嘱目上皮の増殖細胞帯の拡大であり体積の増大には間質の浮腫が大きく関与することそしてこれらの変化はポリープ発生のごく初期の段階から観察されることを本学会誌に報告した(JGastroenterol 29:559-5681994.).これには背景粘膜の萎縮性変化とその原因であるH.pylori(HP)感染が関与しているものと考えられる.【目的】HP除菌による胃過形成性ポリープの大きさの変化を観察し除菌効果と長期成績について検討する.【対象と方法】HP陽性罪過形成性ポリープ15症例(男性6例女性9例年齢34~85歳平均年齢63.1歳単発9例多発6例)に除菌治療を行い除菌成功例について経時的にポリープの大きさを観察した.【成績】クラリスロマイシンによる一次除菌率は60%(15例中9例)メトロニダゾールによる二次除菌率は83.3%(6例中5例)で全体では93.3%であった.除菌成功例14例の平均観察期間は24.7ヵ月(4~63ヵ月9例は1年以上観察)でポリープが消失したのは3例(21.4%)縮小したのは10例(71.4%)不変であったため内視鏡的切除を行ったものは1例(7.1%)であった、また縮小例のうち1例は63ヵ月後に再増大を認め内視鏡的切除を行った.【考察】HP除菌治療により胃過形成性ポリープは高率に縮小し内視鏡的切除の必要性はなくなることから臨床的有用性が認められた.しかし完全に消失するのは20%程度に過ぎず多くはごく小さな病変が残存したすなわちHP感染は炎症浮腫によるポリープの増大に深く関与しているものの除菌によっても増殖細胞帯の拡大という過形成の本質は完全には失われないものと考えられた.
索引用語