セッション情報 シンポジウム3.

H.pylori除菌治療の適応拡大

タイトル

S3-07 PTPN11の遺伝子多型によるHelicobacter pylori除菌治療受益者の絞り込み

演者 安藤貴文(名古屋大学消化器内科学)
共同演者 後藤康幸(名古屋大学予防医学・医学推計判断学), 後藤秀実(名古屋大学消化器内科学)
抄録 【目的】胃癌発生にはHε1∫cobμofθr〃。アf(H. pylori)感染が関わっており胃癌予防を目的としたH鯉。π感染者の除菌が検討されるべきである.CagA蛋白は胃上皮細胞に4型分泌機構によりH. pyloriから挿入された後SHP-2と結合して細胞の異常増殖がおこると考えられている.我々は除菌受益者を絞り込むことを目的としてSHP-2をコードする遺伝子PTPNI Iの多型と萎縮性胃炎胃癌の発生との関連について検討した.【方法】成人検診受診者で非癌の454名をcontrolとし名古屋大学医学部関連病院にて手術を受けた胃癌の患者202名をcaseとしたcase-control studyを行った. PTPNIヱの遺伝子多型はPCR-CTPPを用いて判定した.患者血清より抗H. pylori IgG抗体ペプシノーゲン(PG)1およびIIを測定しPGI<70かつPGI/PGII<3の場合を萎縮陽性と判定した.【成績】H. pylori抗体陽性者はそれぞれの群で55.1%(control)と100%(case)であった.萎縮陽性者はピロリ陽性controlでは54.4%caseでは88.6%であった.萎縮性胃炎に対するPTPNI IA/AのG/Gを1とした年齢性別で補正したオッズ比は0.09(95%信頼区間0.Ol-O.72)であった. H〃。アf陽性で萎縮のないcontrolに対する胃癌のPTPNI I A/Aの年齢性別で補正したオッズ比は0.08(95%信頼区間0.01-O.65)であった.H. pylori抗体陽性者における萎縮性胃炎胃癌とPTPNIエ遺伝子多型において関連を認めた.【結論】今回疫学的にP:rPNI IA/AはH. pylori感染者における胃炎胃癌に対してprotectiveに関連することが認められた.しかしPτPN1ヱの多型で十分な除菌受益者を絞り込むことはできず費用対効果を良好とするためにも今後さらなる検討が必要である.
索引用語