セッション情報 |
シンポジウム3.
H.pylori除菌治療の適応拡大
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タイトル |
S3-09 胃癌高リスク群に対する除菌治療後の2次癌発生予防に関する検討
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演者 |
塩谷昭子(川崎医科大学食道・胃腸内科) |
共同演者 |
上堂文也(大阪府立成人病センター消化器内科), 春間賢(川崎医科大学食道・胃腸内科) |
抄録 |
目的:Japan Gast Study Groupの報告では早期胃癌内視鏡治療後の患者への除菌治療により2次癌の発生が有意に少ないことが報告された.一方われわれは有意に胃癌群および不完全型腸上皮化生を含む粘膜では除菌後に対照群と比較して胃体部小叩の炎症が残存し萎縮が改善しない例を有意に多く認めることを報告した(Int J Cancer 2007;15;121:1182).今回胃癌高リスク群に対して除菌治療を行い2次癌発生の予測マーカーについて前向きに検討した.方法:対象は早期胃癌に対するEMR歴を有する患者86例の内除菌に成功し2年以上の経過観察が可能であった76例.除菌前および除菌後1年分に採血および胃体部大網小奮前庭部大業の3箇所より生検を行い胃炎の程度をスコア化した.IMはAB/HID染色により分類した.血清ガストリン値をRIA法にてペプシノーゲン値をELISA法にて測定した.結果:平均観察期間27ヶ月の間に新たな癌の発生を8例(10.5%)に認めた.全例男性で分化型癌(IIc6例IIa 2例)腫瘍の大きさは3~12mm大(平均6.5mm大).胃癌発生群と非発生群の比較では胃癌発生群で除菌前のペプシノーゲン値1(18vs 44p;OOO8)および1/II値(0。9vs・14p=0.03)は有意に低値であった.組織学的胃炎スコアの検討では胃癌発生群全例で除菌前の胃体中部小育の萎縮は高度であり非発生群と比較して高度萎縮の占める率が有意に高率(100%vs 51%p=0.04)であった.結論:すでに胃癌の発生した高度萎縮例では除菌後に癌が発生する可能性が高くより早期の段階で除菌すべきであると考える.胃癌発生の予防を目的とし除菌治療が軽度~中等度の慢性萎縮性胃炎に対しても適応拡大されることが望ましい. |
索引用語 |
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