セッション情報 |
シンポジウム4.
Rome
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タイトル |
S4-05 食後愁訴症候群患者と胃排出障害モデルラットのグレリン動態
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演者 |
岩崎栄典(慶應義塾大学医学部消化器内科) |
共同演者 |
鈴木秀和(慶應義塾大学医学部消化器内科), 日比紀文(慶應義塾大学医学部消化器内科) |
抄録 |
【目的】グレリンは主に胃から分泌される消化管ホルモンで胃運動や摂食の亢定作用を持つ.機能性ディスペプシア(FD)は多因子が関与する疾患であるが胃運動を調節するグレリンとの関与が報告されている(JGastroenterol 41:5132006).今回我々はFD症例を対象に血漿中グレリン値の測定を行いFDの病態にグレリンがいかに関与しているかを検討した.さらに胃排出障害を惹起させたラットにおけるグレリン動態とその受容体であるGHSR発現を検討した【方法】(研究1)同意を得られ上部消化管内視鏡検査にて器質的病変を認めない97例を対象とした.症状のない19例を対照群としRome m基準によるFD患者51例を自覚症状スコア(GSRS)に基づいてPDS患者(n=27)EPS患者(n=24)に分類し血漿グレリン濃度を測定した.(研究2)7週齢SDラットの幽門部に狭窄を作製し食餌量を一致させた対照群とともに2週間飼育し実験に供した.胃排出障害はphenol red法を用い定量化した.血漿及び胃内グレリン濃度はRIAで測定した.プレプログレリンmRNAGHSR mRNA発現は定量的RT-PCR法で検討した.胃組織は抗グレリン抗体を用いた免疫組織化学でその陽性細胞を評価した【成績】(研究1)Rome皿基準でPDSはEPSや対照群に比して有意に活性型グレリン(14.4±5.9119±4.99.4±3.8)総グレリン(2052±1073182.8±94.5147.2±31.7)が上昇した(研究2)胃排出障害群では対照群に比べ胃排出率は有意に低下し血漿グレリン濃度の増加プレプログレリンmRNA発現と胃粘膜GHSR発現の上昇グレリン陽性細胞の増加を認めたが胃内総グレリン濃度は減少した.【結論】胃排出障害によってグレリン産生分泌が充所しGHS受容体発現が上昇したことからいわゆるグレリン抵抗性が増したと考えられた.食後愁訴症候群患者での血漿グレリンの上昇の機序の一つとして胃運動に対するグレリン抵抗性が関与していることが示唆された |
索引用語 |
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