セッション情報 シンポジウム4.

Rome

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S4-09 多施設におけるFD症状に対する酸分泌抑制剤の有効性に対する検討:FSSG問診票を用いたラベプラゾールとファモチジン・モサプリド併用療法との比較

演者 阪口正博(守口敬任会病院内科)
共同演者 高尾美幸(守口敬任会病院内科), 室谷益代(室谷クリニック)
抄録 NERD患者はさまざまな症状を呈しFDともオーバーラップする疾患である酸関連症状に対して酸分泌抑制は重要であるがFD症状に対する胃酸分泌抑制の重要性についてはまだ確立されていない.今回我々はNERD患者を対象にFD症状に対する酸分泌抑制の有効性を多施設において検討したので報告する〈対象および方法〉対象は上腹部症状を有しFSSG問診票で8点以上であり治療が必要と考えられたNERD症例86例である.患者を無作為に2群に分け1群にはFamo-tidine 40mgとMosapride 15皿gの併用投与(FM群:42例)をもう1群にはRa-beprazole 10mg投与(RPZ群:44例)にて治療を開始した.薬剤投与前投与3日7日14日後にFSSG問診票による問診を行い症状の変化を酸関連症状・FD症状別に比較した.次に治療前値を100として治療後の数値を算出した変化率について投与薬剤別の症状改善率を比較した.また胃粘膜萎縮の有無による投与薬剤別の治療効果についても検討を加えた.<結果>1)Fスケールは酸関連症状・FD症状において両群とも治療前より投与3日7日14日後で有意に低下していた.2)変化率では酸関連症状・FD症状において有意差はなかったがRPZ群で高い改善率を認めた3)胃粘膜萎縮(+)症例では両群において酸関連症状・FD症状双方で同様の症状改善を認め治療前より投与3日7日14日後でFスケールは有意に低下していた.4)胃粘膜萎縮(一)症例においてはRPZ群で有意な治療効果がみられるのに対してFM群では酸関連症状・FD症状において投与3日7日後に有意なFスケールの低下は認めなかった.〈結語〉酸関連症状だけでなくFD症状に対してもRPZ群はFM群に比して同等以上の症状改善を認めた.特に胃粘膜萎縮のない症例においてはFD症状に対してもPPIによる治療が有意に効果的であり強力に酸分泌を抑制することは有効であると考えられた.
索引用語