セッション情報 シンポジウム5.

炎症性腸疾患:分子標的療法の新展開

タイトル

S5-06 術後クローン病に対するInfliximabの有効性の検討

演者 吉村直樹(社会保険中央総合病院)
共同演者 酒匂美奈子(社会保険中央総合病院), 高添正和(社会保険中央総合病院)
抄録 【目的】活動期クローン病(CD)の緩解導入に本邦でInfliXimab(IFX)が認可され6年経ち治療法の工夫によりCD患者の緩解導入維持率は向上しているが腸管切除症例に対するIFXの有効性は明らかではない.今回腸管切除症例にIFXを導入した治療成績を検証し術後CDに対するIFXの有効性を検討した.【方法】2002年6月から2007年8月までに当院にてIFXを導入した280例中腸管切除既往症例116例(平均年齢:32.4±7.5歳;平均術後年数:2.8±2.5年)を対象としたIFX導入前初回投与(単回または026週の3回投与)4-8週後のCDAIなどから著効(CDAI<150かつ70ポイント以上の低下)有効無効を判定し非手術既往(N)群手術既往(0)群の有効率を検討した.また有効例で維持療法を施行した症例をEpi-sodic投与した(E)群とほぼ8週毎のScheduled投与した(S)群の2群に分け緩解維持率を比較検討した.【成績】N群は164例中139例(84.8%)0群は116例日75例(64.7%)が有効であった腸管型は63例中39例(61.9%)腸管皮膚痩型は18例中12例(66.7%)痔痕型は12例中10例(83.3%)腸管+痔痩型は7例中6例(85.7%)が有効であった.術後1年以内の早期導入例は4a例中34例(81.0%)1年以上経過してからの導入例は74例中41例(55.4%)が有効であり術後症例でも早期導入の有効性が示唆された.IFX導入時の総手術回数で検証すると1回手術例は76例中51例(67.1%)2回手術例は23例中15例(652%)3回以上手術した症例では17月中9例(52.9%)が有効であり手術回数の増加とともに有効率は低下したt中等度以上の吻合部狭窄を認めた症例は12例あり8例(667%)が有効であったが高度狭窄例は無効であった.有効例で維持療法を施行した32例(E群16例;S群16例)中再度手術となった症例はE群は10例(62.5%)S群は2例(125%)あり再手術率はS群で有意に低かった(p<0.01).【結論】術後CD症例においてもIFXによる緩解導入療法は有効であり術後の早期投与計画的維持投与は緩解導入維持率の向上に寄与するIFXの新治療戦略と考えられた.
索引用語