セッション情報 シンポジウム5.

炎症性腸疾患:分子標的療法の新展開

タイトル

S5-08 クローン病大量出血例に関する臨床的検討

演者 中村志郎(兵庫医科大学下部消化管科)
共同演者 神野良男(兵庫医科大学下部消化管科), 松本誉之(兵庫医科大学下部消化管科)
抄録 【目的】クローン病(以下CD)の経過疎には時に生命予後にも影響するような大量出血を生じる場合があり原因病変が深部小腸に存在する場合も多いことなどからしばしば内科治療に難渋し診療上の問題となっている.今回治療に2単位以上の輸血を要する様な大量出血をきたしたCD13例を対象にその臨床的な特徴と治療について特にinfliximabの有効性について検討を行った.【結果】症例の男女比は11:2患者の年齢は20~47歳平均32.8±69歳であった病悩期間は2~16年平均109±4.6年で手術歴の有無については有りが4例無しが9例であった.出血時の病期は活動期7例緩解期6例で出血の詳細についてはショックを呈したものが5例以前に出血歴を有するものが7例発病時にも大量出血をきたしていたものが4例存在していた.病型は小腸型7例小腸大腸型4例大腸型2例でt出血部位については11例で確認され回腸8例空腸1例大腸2例で原因病変は縦走潰瘍7例不整形潰瘍3例広範粘膜脱落1例であった治療については11例が保存的に加療され2例が緊急手術となった.内科的治療としては1例に内視鏡的止血術7例にinfliximab点滴投与が行われた.In且iximab投与7例の詳細は小腸出血6例大腸出血1例で横行結腸の広範粘膜脱落例以外の6例に一次止血が得られた.3例が半年内に再出血をきたしたがダブルバルーン内視鏡で原因病変の治癒が確認された3例では再出血を認めなかった.再出血を来した3例のうち2例はinfiximabの再投与で止血されたが残る1例は出血性ショックを呈し緊急手術となった【結語】CDの大量出血例は約半数が緩解期に出現し出血部位は回腸病変としては縦走潰瘍が最も多かった.infliximabはCD大量出血例の一次止血に高い有効性を示したが再出血予防のためには原因病変のmucosal healingを確認する重要性が示唆された.
索引用語