セッション情報 シンポジウム5.

炎症性腸疾患:分子標的療法の新展開

タイトル

S5-09 Infliximabによるクローン病小腸病変の治療戦略

演者 渡辺憲治(大阪市立大学大学院医学研究科消化器器官制御内科学)
共同演者 山上博一(大阪市立大学大学院医学研究科消化器器官制御内科学), 押谷伸英(大阪市立大学大学院医学研究科消化器器官制御内科学)
抄録 【目的】Infiiximab(IFX)によりクローーン病(CD)の治療は変化を遂げているがその主な投与対象は外甥と栄養療法抵抗例が多い大腸病変(CL)である.一方CD小腸出血例においてIFX投与が有効との報告がありt小腸病変(SL)にも有効と推測される.SLは血液検査画像診断でCしに比べ認識困難で狭窄や痩孔に至った場合CLより外科手術となる可能性が高い.我々のIFX投与例における大腸内視鏡(CS)ダブルバルーン小腸内視鏡(DBE)経肛門的挿入tカプセル内視鏡(CE)の検査成績からSしに対する治療戦略を検討した.【方法】当院でのCDに対するCEDBEの検討結果からSしの首座はその約25%の症例が内視鏡検査が困難な回腸中部より口側に置くことが確認された.2007年8月までに当院でIFXを投与した101症例のうち連続2回以上投与し内視鏡的に治療効果を判定できた51例を対象とした.IFXの投与前後で術後小腸大腸吻合部を含めた小腸と大腸に分けて内視鏡所見をスコア化し(Gut 2006:55:842-847)内視鏡的治療効果を判定した.また難治とされる縦走潰瘍(LU)の治療効果についても検討した【成績】内視鏡スコアの改善をCL51.4%(18/35)SL57.9%(11/19)に内視鏡的完全緩解をCL171%(6/35)SL15.8%(3/19)に認めた.内視鏡スコア改善例でもLUの残存はCL61.1%(11/18)SL667%(2/3)に認め炎症の強いLUはCLSしとも潰瘍治癒が遷延する可能性が示唆された.Sしに対するIFX投与後3例で狭窄が悪化し外科手術となった.またIFX無効例における喫煙率はCしで58.8%(10/17)Sしで62.5%(5/8)であった.【結ts1 FXはCしにもSしにも同等に有効だが炎症の強いLUは内視鏡的緩解導入が遷延する傾向を認めた.今回の検討では病変の主座(病型)をIFX投与の根拠とする結果は導けず狭窄や痩孔をきたし易いSしにおいても内視鏡検査を含む計画的な画像診断での経過観察によって時期を逃さずIFX投与を早期に行うべきと思われた.
索引用語