セッション情報 |
シンポジウム5.
炎症性腸疾患:分子標的療法の新展開
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タイトル |
S5-11 InfliximabによるCrohn病緩解維持療法の有用性に関する前向き研究
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演者 |
梅村賢(東北大学大学院消化器病態学) |
共同演者 |
高木承(東北大学大学院消化器病態学), 高橋秀一郎(東北大学大学院消化器病態学) |
抄録 |
【背景】Crohn病(以下CD)は原因不明の難治性炎症性腸疾患であり未だ根治療法は確立されていない.本邦の治療指針改定案では緩解維持療法として在宅経腸栄養療法と5-ASA製剤内服等の薬物療法が示されているがそれらを施行しても緩解維持困難例が少なからず存在する.近年緩解導入療法として認可され頻用されつつあるInfiXimab(以下IFX)は欧米では8週ごとの反復投与による緩解維持療法の有用性が報告されているが本邦では維持療法は未だ認可されておらずその予後に関する検討は少ない.【目的】IFXによるCD緩解維持療法の有用性をprospective cohort studyで検討すること.【対象12002年1月から2007年3月に初回発作あるいは再燃に対し緩解導入療法を施行したCD症例249例.【方法】緩解導入後の維持療法別に以下の2群に分け検討した.A群:IFX投与を含めた緩解維持療法を施行された例.B群:IFX投与を含めず緩解維持療法を施行された例.それぞれ緩解導入開始日から前向きに追跡した.再燃と腸管切除術施行をend pointとしてCoxハザードモデルを用いて多変量解析を施行し2群の予後を比較検討した.【結果】249例中IFXを投与された症例は60例であり緩解維持療法可能例は47例(78.3%)であった.有害事象は22例(36.7%)に認めIFX投与中止例は15例(25.0%)であった.(1)累積再燃率についてはA群のB群に対するハザード比1.05895%信頼区間0.652-1.716と統計学的有意差は認めなかった.(2)累積手術率についてはハザード比0.15795%信頼区間O、048-O.518と統計学的有意差を認めた.交絡因子の検討では「過去の再燃頻度」がハザード比200895%信頼区間1503-4524と有意であった.【結論】IFXを用いたCDの緩解維持療法はその後の再燃に対する緩解維持期間には影響を及ぼさなかったが累積手術率を低下させ長期予後を改善することが示された. |
索引用語 |
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