セッション情報 シンポジウム6.

クローン病の長期予後:本邦のエビデンスを求めて

タイトル

S6-04追加 クローン病治療における長期予後改善への鍵

演者 石川大介(名古屋大学消化器内科学)
共同演者 安藤貴文(名古屋大学消化器内科学), 後藤秀実(名古屋大学消化器内科学)
抄録 [目的]クローン病の治療はinfiiximabをはじめとした分子標的薬の登場により変化しつつあるが長期使用における効果安全性など未だ不明な点も多い成分栄養剤を用いた栄養療法は我が国では従来より重要な位置を占めてきたが欧米では成人のクローン病の治療としてはほとんど施行されていない.クローン病患者の長期予後改善に寄与する大きな要因は入院および手術の回避であると思われる.今回我々は入院および手術の回避という点に着目し成分栄養剤を用いた栄養療法の有効性を含めて検討した.[方法]まず2003年1月から2007年7月遅での4年半に名古屋大学消化器内科およびその関連施設に通院歴のあるクローン病症例213例を対象とし治療法合併症の有無届出などにつき入院をエンドポイントとするCoxの回帰分析にて累積非入院率の検討を行った.次に1999年7月から2007年7月までの8年間に名古屋大学消化器内科に通院歴のあるクローン病症例172例を対象とし治療法合併症の有無病型などにつき手術をエンドポイントとするCoxの回帰分析Kaplan-Meier法による累積非手術率の検討を行った.[成績]入院の回避に関しては狭窄を有さない患者成分栄養剤900kca1以上内服している患者は有意に累積非入院率が高くなるという結果が得られた.手術の回避に関しては狭窄撰孔がない患者免疫調節剤を使用している患者そして成分栄養剤900kcal以上内服している患者は有意に累積非手術率が高くなるという結果が得られたまた特に小腸に病変を有するクローン病患者については成分栄養剤900kcal以上内服は手術回避に有効という結果であった.[結論コクローン病治療において特に小腸病変を有する症例には成分栄養剤900kcal以上の使用がまた手術の回避という点からは免疫調節剤の使用が長期予後改善に関与する重要な要素と考えられた.
索引用語