セッション情報 シンポジウム6.

クローン病の長期予後:本邦のエビデンスを求めて

タイトル

S6-05 クローン病に対する抗TNF-α抗体(Infliximab)Top-down治療による長期成績-Top-down治療開始時期病型の相違を含めて-

演者 本谷聡(札幌厚生病院第一消化器科)
共同演者 那須野正尚(札幌厚生病院第一消化器科), 今村哲理(札幌厚生病院第一消化器科)
抄録 【背景・目的】既存治療抵抗性のクローン病に対してもっとも長期間の緩解維持と良好なQOLが期待できる治療法は抗TNF一α抗体(infliximab)の計画的維持投与法である.しかし線維性狭窄や内隠形成をきたした後にStep-up的にinfhximabを導入しても長期の病勢コントロールは困難であることが多い.そこで早期にin伍xi-mabを導入するTop-down治療が長期緩解維持成績を向上させるのかまた二型別の成績も考慮しいかなる場合にTop-down治療が推奨されるべきか検討した.【対象】2003年1月から2007年10月までに当科でin且iximabを投与したクローン病患者138例を対象として短期成績を求めさらに少なくとも1年以上経過観察し評価可能な108例を長期成績解析の対象とし緩解維持率・非再入院率・病変の疲痕治癒率を検討した.Top-down治療は「診断確定後1年以内でかつステロイド・免疫抑制剤未投与非手術例」としたが併せてステUイドが先行されていた場合また欧州での定義に準じ「診断確定後4年以内」の成績も検討した.【結果】Top-down治療群の緩解導入率は81.8%と従来法での65.8%ときわめて高く無効例も大きく減少させた.6ヶ月での緩解維持率はTop-down群で100%に対し従来法で698%であったが12ヶ月経過すると各63.6%対56.4%で有意差を認めなかった.しかし大腸型の場合Top-down群で有意に長期の緩解維持が可能であり1年以内の投与ならステロイド先行の影響も少なかった.またTop-down治療は免疫抑制剤併用を削減することは不可能だったが成分栄養療法併用は大腸型に限り不要であった.【結論】線維性狭窄や内痩を併発していない大腸型ではTop-down治療と計画的維持投与によりさらに長期間の緩解維持が可能であった一方小腸病変でのTop-down治療は緩解導入成績は向上するものの1年以降の維持率に既存治療との有意差を見出せずその適応は慎重であるべきと考えられた
索引用語