セッション情報 シンポジウム6.

クローン病の長期予後:本邦のエビデンスを求めて

タイトル

S6-07追加 クローン病の長期緩解維持を目的としたinfliximab定期投与において経腸栄養療法は必要か?

演者 古賀秀樹(九州大学病態機能内科学)
共同演者 清水香代子(川崎医科大学食道・胃腸内科), 松本主之(九州大学病態機能内科学)
抄録 【目的】クローン病の長期緩解維持目的で栄養療法を用いるのは本邦独自の戦略で欧米では抗TNF一α抗体を中心に緩解導入から維持まで行うTopDown療法が主流である.本邦でもTopDown療法を行う機会が増えているがその場合従来からの栄養療法をどのように設定すればよいのか一定の見解は得られていない.そこでinfliximabで緩解導入から維持までを試みたクローン病患者における栄養療法を調査しその必要性を検討した.【方法】九大病院および川崎医大病院において2002年7月から2007年10月までの期間に活動性病態に対してinfliximabを投与し8週間隔で定期投与を行ったクローン病患者のうち6ヶ月以上経過観察を行った42名(男性3G名小腸型9名小腸大腸型25名大腸型8名infliximab開始時平均CDAIは213.9)を対象とした. infliXi-mab開始後に全く入院をしていない患者を良好群病態悪化により入院した患者を不良群と定義し栄養療法を含めた臨床的背景を両二間で比較検討した.【結果】良好群は30名で平均20.7ヶ月聞入院を回避できたが不良群の12名では平均7.3ヶ月で入院していた.併用薬剤は山群で差がなくinfliXimab開始時の活動性ではCDAICRPともに良好群の方が高値であった.栄養療法は良好群では平均16.8kca1/kgであったが不良群では11.8kcal/kgにとどまっていた.栄養剤の種類には差を認めなかった.不良群には腸管切除歴を有する割合が高く栄養療法が不十分にもかかわらず経過良好な患者群の大部分は腸管切除歴がなかった【結論1infHXimabで長期緩解維持を図る場合でも栄養療法が経過に影響を及ぼしている可能性が高い.特に腸管切除歴を有する患者では栄養療法をより強化することが望ましい.
索引用語