セッション情報 シンポジウム6.

クローン病の長期予後:本邦のエビデンスを求めて

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S6-08 6-MP/AZA服用中のIBD患者における赤血球中6-thioinosine nucleotides濃度の測定

演者 矢島知治(慶應義塾大学消化器内科)
共同演者 長沼誠(慶應義塾大学消化器内科), 日比紀文(慶應義塾大学消化器内科)
抄録 【目的】IBDの治療において用いられる6-MP/AZAは治療効果と副作用の個体差が大きい.活性代謝産物とされる赤血球中6-TGN濃度によって一元的に説明することができない現状を踏まえこれまで我々はITPaseの遺伝子多型およびその活性が6-MP/AZAの治療効果と副作用に及ぼす影響を報告してきた.本研究はITPaseの基質となる6-thioinosine nucleotides(以下6-TIN)の赤血球中濃度を測定することで6-MP/AZA代謝の概要を明らかにし6-MP/AZAの個別投与設計実現に寄与することを目的する.【方法】出島義塾大学病院および北里研究所病院において6-MP/AZAを内服しているIBD患者26例を対象としHPLCを用いて赤血球中6-TIN(6-TIMP6-TIDP6-TITPの総和)濃度の測定を行い以下の項目につき検討した.1)ITPaseの遺伝子多型との関連2)IT-Pase活性との関連3)赤血球中6-TGN濃度との関連【結果】1)ITPaseの遺伝子多型症例(n=10)においては野生型の症例(n=14)に比べ赤血球中6-TIN濃度が有意に高値であった2)ITPase活性と赤血球中6-TIN濃度には負の相関が認められた.3)赤血球中6-TIN濃度と赤血球中6-TGN濃度には正の相関が認められた(n=26p<0.Ol).更にITPase遺伝子多型の有無に分けて解析したところ多型症例では有意な相関が認められなかった一方で(n=10)ITPase遺伝子野生型の症例ではより強い相関が認められ(n=14pく0、001).考案:6-MP/AZAの効果および副作用発現の規定因子と考えられるITPase遺伝子多型とITPaseの低活性が赤血球中6-TIN濃度の上昇に有意に関連していたことから赤血球中6-TIN濃度の測定が6-MP/AZAの個別投与設計実現に寄与する可能性が示された.一方でITPase遺伝子野生型症例については赤血球中6-TIN濃度と強い相関を持つ赤血球中6-TG濃度が6-MP/AZAの投与量調節の規定因子となりうるか改めて検討すべき余地があるものと考えられた
索引用語