セッション情報 シンポジウム6.

クローン病の長期予後:本邦のエビデンスを求めて

タイトル

S6-09 クローン病緩解導入法別にみた栄養状態の変化とその後の再燃に関するコホート研究

演者 高橋秀一郎(東北大学大学院消化器病態学分野)
共同演者 高木承(東北大学大学院消化器病態学分野), 木内喜孝(東北大学大学院消化器病態学分野)
抄録 【目的】クローン病の緩解導入療法としては現在主に完全経管成分栄養(以下E)完全中心静脈栄養(以下T)プレドニゾロン全身投与(以下P)インフリキシマブ全身投与(以下1)の4法が用いられているそれぞれの緩解導入法による栄養状態の変化とその後の再燃について検討することを目的とした.【方法】クローン病と診断され2002年3月より当科外来または入院で緩解導入が行われた261例を対象とし緩解導入時より前向きに追跡した、緩解はCDAIが150未満再燃はCDAIが200以上となったものもしくは症状悪化で緩解導入を再施行したものと定義した.各群の累積非再燃率をKaplan-Meier法を用いて算出し予後因子の検索交絡因子の補正はCox比例ハザードモデルを用いた.【成績】患者内訳は緩解導入法別に分けるとE群62名T群113名1群37名P群49名であった.性別は男性183例女性78例で平均年齢は30.4歳平均罹患期間は71年平均再燃頻度は0.58回/年病型は小腸型67名ノ」・腸大腸型169名大腸型46名であった.肛門病変を55%腸管外合併症を22%既往手術歴を58%の患者に有していた.各緩解導入前後でCDAICRPは全群で低下した. HbAlb値はP群のみで改善を認めなかったが他の3群では改善した.50%再燃期間はE群21ヶ月T群24ヶ月1群12ヶ月P群12ヶ月であった.単変量解析で日嗣間で有意差を示した年齢罹患期間肛門病変既往手術歴再燃頻度維持療法としての在宅成分栄養免疫抑制剤の併用緩解導入前のCDAI(中央値244)についてCox比例ハザードモデルで検討を行い病型罹患期間再燃頻度が予後因子として有意であり小腸型は小腸大腸型大腸型より再燃リスクが低く罹患期間再燃頻度が高い患者ほど再燃リスクが高かった.多変量ハザード比は1群に対しE群1.17T群1.21P群1.61で有意差は認めなかった.【結論】緩解導入前後でP群のみが栄養状態の改善を認めなかった.4群間で再燃までの期間に有意差は認めなかった
索引用語