セッション情報 シンポジウム6.

クローン病の長期予後:本邦のエビデンスを求めて

タイトル

S6-10 クローン病手術症例の長期予後の検討

演者 池内浩基(兵庫医科大学外科学講座)
共同演者 内野基(兵庫医科大学外科学講座), 冨田尚裕(兵庫医科大学外科学講座)
抄録 (目的)クローン病(以下CD)の長期経過例の増加とともに手術症例も増加している.そこで手術症例の長期経過例の問題点についてretrospectiveに検討した.(対象)2007年9月までに当科で手術を行ったCD症例545例を対象とした.(結果)1.再手術率:当科で初回手術を行った手術症例365例の累積5年の再手術率は17%であった.2.絶島症候群症例:残存小腸長が200cm以下の症例を検討した.200cm以下の症例は13例存在した.いずれの症例も手術回数は3回以上でありHPNが10例に行われておりHPNを行っていなかった3症例はいずれも人工肛門を有していない症例であった.HPNを行っている症例の問題点はポート感染であり現在ポートを使用しているのはわずか1例だけで残りの9症例は通常のIVHカテーテルを定期的に交換していた.3.人工肛門造設症例は113例(21%)存在した。96例が一時的な人工肛門造設予定者であったがこの内閉鎖を行うことができた症例は24例(25%)であった.4.癌合併症例は9症例ありこの内7例は直腸肛門病変に合併した症例であった.直腸肛門病変悪化のために直腸切断術を行った直腸に早期癌を認めた1例以外はいずれも進行癌症例でありその予後は4例が癌死しており2例が局所再発を生じていた.5.死亡症例は8例あり二死以外の4例の死亡原因は2例が術後合併症1例がHPNに伴う敗血症1例が脳内出血であった(結語)1.短腸症候群防止のためには手術回数を2回以下にすることが必要でありインフリキシマブの術後投与を含めた長期緩解維持療法の確立が重要であると思われた.2CD患者の予後を左右する要因として癌の合併が重要な問題となっており特に直腸肛門病変に対するサーベイランスプUグラムの確立が重要であると思われた.
索引用語