セッション情報 シンポジウム6.

クローン病の長期予後:本邦のエビデンスを求めて

タイトル

S6-11 クローン病術後緩解維持療法としてのinfliximab

演者 荒木俊光(三重大学消化管・小児外科学)
共同演者 三木誓雄(三重大学消化管・小児外科学), 楠正人(三重大学消化管・小児外科学)
抄録 【目的】クローン病(CD)では大多数で手術が必要となるがその再手術率も高い.最終的に隠忍症候群や永久人工肛門に至る症例も少なくなく術後の再発・再手術の予防は重要な課題である.当科では再発予防の目的で症例により術後早期から抗TNFα抗体製剤infiiximab(IFX)を導入しておりこの成績を報告すると同時にその意義について考察する【方法】1987年5月から2007年9月までに術後経過観察を行ったCD51例を対象とした.IFX投与可能となる前の症例をA群(14例)それ以降の症例をB群(37例)とした.B群ではa)術前IFX投与の既往b)手術単独のみで緩解導入が困難c)直腸病変に起因する面痩tを満たす症例に対し術後IFXを投与した.検討項目は再手術率(人工肛門閉鎖やseton drainage交換などの分割手術計画は除く)とIFX投与症例の副作用とした【結果】両品別に年齢性別観察期間手術適応病変(腸管:肛門)に差は認められなかった.累積5年非手術率はA群(21.2%)に比しB群(79.3%)と有意な改善(p=α0409)が認められた.B群で術後IFX投与が行われなかった症例では再手術例は認めなかった.B群で術後IFX投与を行った27例のうち維持投与(5mg/kg/8week)21例と単回投与6例の比較では累積5年非手術率は前者が9L7%後者は39.8%と維持投与で高い傾向(p = O.0820)にあった.再手術症例は全例肛門周囲膿瘍の増悪に対するドレナージであった.IFX投与による副作用は4例(148%:infusion reaction4例遅発性過敏症2例)に発生しうち2例で再投与が不能となった.IFX投与による感染性合併症の発生は認めなかった.【結論】術後再発や再手術のリスクが高いと考えられる群においても術後IFX維持投与によって再手術率が有意に抑制されていた.重大な副作用も認められなかったことから術後IFXによる緩解維持療法は積極的に導入が考慮されるべきであると考えられた.
索引用語