セッション情報 シンポジウム7.

大腸腺腫の治療ガイドラインを目指して

タイトル

S7-02 大腸癌患者に同時併存する大腸腺腫は前癌病変か?

演者 木村聖路(国民健康保険三戸中央病院内科)
共同演者 高杉滝夫(国民健康保険三戸中央病院内科), 田中正則(弘前市立病院臨床検査科)
抄録 【目的】大腸癌を内視鏡的または外科的に切除する際同一患者の大腸内に同時併存する大腸腺腫を指摘することが少なくない.腺腫を併存する癌はしない癌より異論性大腸癌のリスクが高いとされる.そこで大腸癌患者に併存する腺腫と腺腫患者で指摘される通常の腺腫では臨床病理学的に相違があるのか比較検討を試みたので報告する.【方法】当科で内視鏡検査後に切除された合計396例(早期癌211例進行癌185例)の大腸癌患者に同時併存した腺腫198病変(A群)と腺腫患者566例において内視鏡治療された大腸腺腫927病変(B群)を対象とした.両幽間における腺腫の局在部位大きさ内視鏡形状組織型異型度について統計学的比較検討を行った【成績】A群とB群の大腸腺腫の局在部位は各々直腸14.7%190%左側大腸44.9%42.9%右側大腸40.4%38.1%で面差はないが癌併存耀は直腸に少なかった.大きさは各々5㎜未満31.7%36.3%5-9mm46.7%50.6%10mm以上21.6%13.2%であり癌併存腺腫は有意に大きかった(p<O.Ol).内視鏡形状は各々無茎性709%70.2%有茎性20.6%20.1%表面型7.0%6.2%側方発育型1.5%3.6%で有意差はなかった.組織型は各々管状腺腫92.5%92.0%絨毛状腺腫7.0%67%serrated adenoma O.5%1.3%であり有意差はなかった.しかし異型度は各々mild 21.2%3α9%moderate662%61.8%severe 12.6%7.3%と癌併存腺腫の方が有意に異型度が高かった(p<O005).【結論】大腸癌患者に同時併存する腺腫と腺腫患者の通常の腺腫を比較すると癌併存腺腫ではサイズが大きく組織学的異型度も高いことが指摘された.このことから癌患者に同時併存する大腸腺腫は癌切除前後に必ず切除しておくべき病変と考えられた.
索引用語