セッション情報 シンポジウム7.

大腸腺腫の治療ガイドラインを目指して

タイトル

S7-05 拡大観察における血管模様を加味した腺腫・早期癌鑑別法の検討

演者 斎藤彰一(東京慈恵会医科大学内視鏡科)
共同演者 池上雅博(東京慈恵会医科大学病院病理部), 田尻久雄(東京慈恵会医科大学消化器肝臓内科)
抄録 【目的】血管模様による腺腫一早期癌の鑑別における拡大観察の有用性について検討した【方法】対象は拡大観察を施行した218病変である.NBIによる拡大観察の血管模様を便宜上以下に分類した.血管走行が目立たない1型軽度拡張する2型拡張が著明な3型走行が途切れて粗となり明瞭に追えない4型である.また3型を絨毛構造を有した間質内に走行する拡張血管を3V(Villous pattern)型と拡張血管に口径不同屈曲蛇行など不規則性を認める31(Irregular pattem)型に亜分類した.pit patternの検討ではVI pitを腺管開口部が明瞭に見られるVI-C(Clear)と不明瞭に変化しているVrUC(Unclear)に分けた.【結果】内訳は過形成性ポリープ(HP)21病変腺腫54病変粘膜内癌(M癌)62病変SM癌81病変である. pit pattemと組織型・深達度との関係ではll pitがHPで全例腺腫病変では鋸歯状腺腫が3、7%であった.皿・IV pitが腺腫;92.6%M癌; 62.9%であったVI-C pitでは腺腫:3.7%M癌;33.9%VrUC pitではM癌;3.2%であった、血管模様と組織型・深達度との関係では1型では全例がHPで軽度異型腺腫が2病変.2型では腺腫;66.0%M癌;313%であった3V型では腺腫;28.0%M癌;42.2%SM癌;10.0%一方で31型では腺腫12.O%M癌;23.4%SM癌;40.0%であったt 4型では全例でSM深部浸潤癌であった.血管模様とpit patternの関係では2型では皿・IV;816%VI-Cで1&4%であった.3V型では皿・工V;46.0%VI-C:50.0%VI-UC:4.0%であった31型では皿・IV;12.9%Vi£;22.6%VI-UC:64.5%であった.4型ではVI-C i 2.3%VI-UC;31.4%VN l 65.7%であった.【結論】大腸上皮性腫瘍において血管模様は正常粘膜の血管径より拡張所見としてみられる.以上からこの拡張所見に不規則な変化が現れることでより組織異型度に反映され腺腫から.M癌・SM癌へと移行する所見として捉えることが重要と考えられた.
索引用語