セッション情報 シンポジウム7.

大腸腺腫の治療ガイドラインを目指して

タイトル

S7-09 内視鏡追跡による大腸腺腫の自然史からみた至適サーベイランス

演者 久部高司(福岡大学筑紫病院消化器科)
共同演者 津田純郎(福岡大学筑紫病院消化器科), 松井敏幸(福岡大学筑紫病院消化器科)
抄録 【目的1小さな大腸腺腫の取り扱いについては経過観察でよいのかあるいはすべて摘除すべきかコンセンサスが得られていない.今回腫瘍径10mm未満の隆起型および表面隆起型大腸腺腫の内視鏡的追跡による発育進展の検討を行い大腸腺腫の自然史からみた至適サーベイランスについて考察した.【対象】1989~1997年の期間に福岡大学筑紫病院消化器科にて大腸内視鏡検査を施行した16514症例のうち生検病理組織学的に診断された隆起型および表面隆起型大腸腫瘍性病変は3025症例だった.このうち以下の条件を満たした268症例323病変(男女比194:74平均年齢59.0歳平均観察期間42.4ヶ月)を対象とした1.腫瘍径10mm未満2.軽度もしくは中等度異型線種3.1年以上の期間をあけ再検査4.同一病変と確認でき組織学的にも経過が追えた5.大腸癌の高危険度群でない.【検討項目】1.内視鏡的形態の変化2.腫瘍径の変化3組織異型度の変化について比較検討しさらに重大な病変への変化を形態変化あり腫瘍望遠大あり癌化ありとし以下に挙げたりスク要因についてそれぞれ比較検討を行なった1併存腺腫数2.大腸内視鏡治療の既往3.10mm以上の腫瘍性病変併存の既往.【成績】323病変のうち形態変化をきたしたものは17綴53%で平均観幽間は762ヶ月だった.増大が3㎜以上のものは30病変9.3%で平均観察期間は60.3ヶ月だった.最終腫瘍径が10mm以上となったものは11病変3.4%で平均観察期問は668ヶ月だった.粘膜内癌へ発育進展したものは3病変0.9%で平均観察期間は110.0ヶ月だった.全例に3個以上の腺腫の併存大腸内視鏡治療の既往かつ10mm以上の腫瘍性病変の既往があった.【結論】リスクを有する症例であっても5年間は重大な病変への変化はなかったが5年以降では腫瘍は増大し悪性化するものがあった.以上から個別のリスクがサーベイランスのあり方に影響する可能性はあるが隆起型および表面隆起型の小さな腺腫は5年間隔のサーベイランスで対処可能と結論された.
索引用語