セッション情報 シンポジウム7.

大腸腺腫の治療ガイドラインを目指して

タイトル

S7-10 見逃し率からみた大腸腫瘍のサーベイランスのあり方

演者 小林邦生(愛知医大消化器内科)
共同演者 宮田充樹(愛知医大消化器内科), 春日井邦夫(愛知医大消化器内科)
抄録 【目的】大腸内視鏡検査(CS)による大腸腫瘍切除後の適切なサーベイランスには初回発見腫瘍の個数や大きさ・肉眼型組織型などを考慮する必要がある.しかしCSには見逃しが存在するためその頻度を適切に考慮したうえで’再発に影響する因子を検討する必要がある今回われわれは発見された腫瘍をすべて摘除しclean colonの状態でサーベイランスを行ったaverage risk群を対象に大腸腫瘍の見逃し率と再発率につき検討を行った.【対象と方法】[検討1]見逃し病変と率を検討する目的で30日以内に2回以上全大腸内視鏡検査(TCS)を施行した644名にみられた腫瘍の個数形態大きさ組織図について解析した.[検討2]初回TCS後31日以上の間隔をおいてTCSを施行した676名を対象にKaplan-Meier法に従った累積非再発率曲線とCox比例ハザードモデルを用いて大腸腫瘍の再発を性別年齢初回摘除腫瘍の個数組織型について解析した。【成績】検討1:大腸腫瘍の見逃しは全て腺腫で124件157個(19.3%)であった.その84%は5mm以下で隆起型が87%を占めた検討した因子のうち最も見逃し率に影響するのは初回CS時の腫瘍個数でその数が123個以上で見逃し率はそれぞれ19.6%23.5%35.5%であった.検討2:累積再発率の検討では性年齢組織型において有意差はみられなかったが初回発見腫瘍個数の増加にともない再発率は有意に増大し初回CS時の腫瘍個数が123個以上で1年後と2年後の累積再発率はそれぞれ18.4%21.1%342%と34.7%45.7%71.5%であった.【結論】(1)1年以内の累積再発率は見逃し率より低く1年以内の大腸腫蕩の新生はほとんどない.(2)1年以上経過すると初回発見腫瘍個数に応じ大腸腫瘍の新生が高率となる(3)初回発見腫瘍個数に応じたサーベイランス計画を策定することが有用である
索引用語