セッション情報 シンポジウム7.

大腸腺腫の治療ガイドラインを目指して

タイトル

S7-11 大腸内視鏡の検査医による病変発見率の多様性とサーベイランスに及ぼす影響に関する検討

演者 山地裕(東京大学消化器内科)
共同演者 光島徹(亀田検診センター), 小俣政男(東京大学消化器内科)
抄録 【目的】大腸腺腫取り扱いのガイドライン作成にあたっては対象集団の特性や設備・マンパワーの多様性を考慮する必要がある.検査を担当する内視鏡医による病変発見率の違いが最近注目されておりその影響が懸念される.逐年内視鏡検診の結果を見直し検査医による病変発見の多様性につき検討した【方法】亀田総合病院および同附属幕張クリニックの20年間の人間ドック大腸内視鏡検診の結果を検討した.まず期間中200回以上の検診内視鏡を担当した医師について初回受診者の検査における腺腫および進行病変(10mm以上の腺腫または癌)の発見率を算出した.ついでこれらの医師が初回検査を担当し初回に病変がないか全ての病変を切除した症例についてその後の経過観察中の病変発見率と初回の検査担当医の病変発見率との関連を検討した.【成績】検討対象はのべ62359件(男47687件女14672件平均年齢51.7才)85名の医師が担当した.初回受診者における腺腫の発見率は平均17.8%であったが検:査医により4.2%から38%と多様性がみられた.同様に進行病変は平均3.1%検査医により0%から12%と違いがみられた.そこで検査医を初回の進行病変発見率が高い順に三等分しABC群と分類し初回検査医が属する群によりその後の腺腫進行病変浸潤癌の発見率を比較した.経過観察中の腺腫発見率は初回検査医がA群の場合13.3%B13.1%C14.7%(P<0.001)と初回C群での発見率が高かった.進行病変発見率はAO.52%BO.78%CO.72%(P=0.02)と初回BC群での発見率が高く浸潤癌の発見率もAO%BO.02%CO.04%(P=0.16)とABCの順に発見率が高くなる傾向が認められた.【結論】検査担当医による病変の発見率の多様性は大きくその後の病変の発見率に影響する可能性がある.ガイドライン作成にあたって注意する必要があると考えられる.
索引用語