セッション情報 シンポジウム8.

NAFLDの病態・予後・治療

タイトル

S8-03 非肥満症例を通してのNAFLDの病態解明:コレステロール代謝の重要性

演者 中牟田誠(国立病院機構九州医療センター消化器科)
共同演者 安武健一郎(国立病院機構九州医療センター管理栄養室), 酒井浩徳(国立病院機構別府医療センター消化器科)
抄録 【目的】肥満はNAFLDの成因のひとつであるが非肥満NAFLDも少なからず存在するv肥満そのものが多因子を合併してセ・るために今回肥満という因子を除いた症例を通してNAFLDの病態解析を臨床・栄養学的検討と脂質代謝関連遺伝子発現検討の両面より試みた.【方法】NAFLDと診断された53例[BMI25以上(肥満群):42例BMI25未満(非肥満群):11例]の栄養摂取量腹腔内脂肪面積を含む身体計測およびアディポサイトカインを含む血液生化学データを肥満の有無で比較検討した.また22名のNAFLD肝における脂質代謝関連遺伝子の発現を肥満の有無で比較検討した。【結果】栄養学的検討では非肥満群の摂取カロリーは熱量1880±439kcalであったが摂取コレステロールは非肥満群428±114.9mgと肥満群よりも更に過剰摂取であった.非肥満群で腹囲は低値(83.7±6.2crn)である一方内臓脂肪面積には肥満群と差を認めなかった血液生化学データでは両群ともインスリン抵抗性と高脂血症を認めたが差を認めなかった.またTNFαとアディポネクチンに差はなくレプチンのみ肥満群で高値であった。遺伝子発現に関してはSREBPIcを介して脂肪酸合成を促進するLXRαの発現が非肥満群で高値であった.また脂肪酸酸化関連遺伝子(β酸化ω酸化)と抗酸化関連遺伝子(CatalaseSOD)は非肥満群で高値であった.【結論]LXRαのリガンドはオキシコレステロールであり非肥満の脂肪肝形成おいては過剰摂取されたコレステロールによるLXRα~SREBPIcを介した脂肪酸合成促進が一因と考えられNAFLD形成におけるコレステロール代謝の重要性が示唆された.また肥満群においては脂肪酸酸化に対してレプチン抵抗性の影響が示唆された.
索引用語