セッション情報 |
シンポジウム8.
NAFLDの病態・予後・治療
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タイトル |
S8-04 NASH進展に対するアディポネクチンの意義
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演者 |
鎌田佳宏(大阪大学・消化器内科学) |
共同演者 |
木曽真一(大阪大学・消化器内科学), 林紀夫(大阪大学・消化器内科学) |
抄録 |
【目的】NASHはメタボリックシンドロームの肝臓における表現型でありアディポサイトカインの分泌異常がその重要な要因と考えられている.NAS且は進行性の疾患であり肝臓の脂肪沈着炎症線維化腫瘍発生と進展しうる今回私どもは善玉アディポサイトカインであるアディポネクチンのNASHの各進展過程における意義について報告する.【方法】以下の各モデルについてアディポネクチンノックアウト(KO)マウス野生型(WT)マウスで比較検討した.(1)脂肪沈着:コリン欠乏アミノ酸置換食(CDAA食)1週間投与.(2)炎症反応:DガラクトサミンーLPS投与モデル.クッパー細胞に対するアディポネクチンの影響も検討した.(3)肝線維化二四塩化炭素投与モデル肝星細胞に対するアディポネクチンの作用も検討した(4)腫瘍発生:CDAA食24週投与【成績】(1)KOマウスではWTマウスに比べ著明な脂肪肝を認めた.その機序として脂質合成系遺伝子の発現増加を認めた.(2)KOマウスの肝臓の炎症はWTマウスに比べ極めて強く生存率も有意に低下した.アディポネクチンによりクッパー細胞でのTNFα産生低下IL10産生増加しその機序と考えられた.(3)KOマウスでは著明な肝線維化の進展を認めた.アディポネクチンにより肝線維化の中心的役割を果たす活性化肝星細胞の増殖抑制作用線維化促進遺伝子発現低下作用が認められその機序と考えられた.(4)K:0マ’ウスでは肝腫瘍の発生を14匹中6匹に認めた。KOマウスの肝臓では酸化ストレスマーカーであるTBARSの上昇と8-OHdG陽性細胞の増加を認めた.KOマウスでは酸化ストレス増強因子としてCyp2e1NADPH oxidaseの発現上昇を認め消去系のカタラーゼの発現低下グルタチオンの低下を認めた.これら酸化ストレス関連因子の変化によりKOマウスでは肝内酸化ストレスが増強しNASH進展に寄与したものと考えられた【結論】アディポネクチンはNASHの各進展過程において抑制的に働きアディポネクチンを上昇させることがNASHの治療につながるものと考えられた. |
索引用語 |
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