セッション情報 シンポジウム8.

NAFLDの病態・予後・治療

タイトル

S8-05 NASHの鉄過剰蓄積におけるトランスフェリン受容体1の役割-臨床免疫組織化学およびマウスモデルでの検討-

演者 大竹孝明(旭川医科大学消化器・血液腫瘍制御内科学)
共同演者 鈴木康秋(旭川医科大学消化器・血液腫瘍制御内科学), 高後裕(旭川医科大学消化器・血液腫瘍制御内科学)
抄録 【目的】非アルコール性脂肪肝炎(NASH)において肝臓への鉄過剰蓄積はしばしばみられフリーラジカルを産生し肝障害の要因となっている.しかしその機序はいまだ明らかでない.このNAS且の増悪因子である肝内鉄過剰蓄積に関してトランスフェリン受容体1(TfR1)の役割をNASHから進展した肝硬変組織の免疫組織化学的検討とマウスモデルを用いた基礎的検討から解析する.【方法】1999年から2006年までに経験した肝硬変を背景に初発したHCC103例の中のNASHから進展したと診断した4例について背景肝組織のTfR14-hydroxy2-nonenal(HNE)8-hydroxy-2’一deoxyguanosine(8-OHdG)の発現鉄沈着を免疫組織化学染色法にて検討した.マウスモデルによる検討はC57BL/6マウスをコントロール食と高脂肪食で飼育し24816週目に義殺し肝組織におけるTfR1の発現をreal-time PCR法で検討した.【成績】NASH全例にTfR1の発現肝内鉄過剰蓄積HNEの発現充進を認めた.また2例で8-OHdGの発現を認めた.高脂肪食負荷マウスの肝臓では全ての週においてTfRI mRNAの発現はコントロール食群より充慨していた(p<0.05).【結論】HCCを合併したNASH症例ではTfRlの発現充進を介した肝細胞の鉄取り込み贈進が起きている可能性が示唆された.またNAFLDのモデルマウスにおいても早期からTfR1の発現充進が起きておりNASHの肝内鉄過剰状態を考える上でTfR1の役割は重要と考えられた.
索引用語