セッション情報 |
シンポジウム8.
NAFLDの病態・予後・治療
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タイトル |
S8-06 非アルコール性脂肪性肝障害(NAFLD)における脂質・鉄代謝遺伝子の発現解析
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演者 |
光吉博則(京都府立医科大学消化器内科) |
共同演者 |
伊藤義人(京都府立医科大学消化器内科), 岡上武(大阪府済生会吹田病院) |
抄録 |
【目的】NAFLDでは肝脂肪化や鉄蓄積が酸化ストレス障害の原因として病態進展に重要な役割を果たす.したがって脂質・鉄代謝分子群の発現動態は病態解明の貴重な手がかりとなる.そこでこれらの遺伝子群の発現を解析しtNAFLDの病態を酸化ストレスの面から検討した.【方法】NAFLD症例(単純性脂肪肝= 33名NASH=41名)の肝生検組織からRNAを抽出しRT-PCR法で各種遺伝子の発現を定量した.12名の正常肝RNAをコントロールに用いたt脂質・鉄代謝遺伝子としてperoxisome proliferators-activated reeep-tor-ct (PPARct)acyl-CoA dehydrogenase C4-12 (ACADM)cytochromeP4502El(CYP2El)acyl-CoA oxidase(ACOX)sterol regulatory elementbinding proteins-lc (SREBPIc)fatty acid synthase (FASN)transferrinreceptor l/2(TfR1/TfR2)hepcidn(HAMP)を解析しthioredoxin(Trx)を酸化ストレスの指標にした.【結果】1)NAFLDではTrxの発現が正常肝に比べて有意に高く線維化進展に伴って増加した.2)Trxの発現はPPARαACADMCYP2ElACOXの発現とそれぞれ正の相関関係にあった.3)脂肪酸酸化遺伝子群は線維化進展とともに発現が有意に低下しSREBPlcやFASNの発現と肝脂肪化の面積も同様に低下した4)肝組織中の鉄蓄積は線維化進展とともに増加した.5)HAMPの発現は正常肝に比べて有意に高く肝組織中の鉄蓄積レベルや血清フェリチンと正に相関した.6)TfRlとTfR2の発現はTrxの発現と正に相関した.7)TfR1の発現は線維化と正に相関したがTfR2の発現はPPARαの発現と正に相関した.【結論】NAFLDでは脂肪酸の酸化充進や鉄蓄積が酸化ストレス障害を増悪させるがこれらの効果は病期によって異なる可能性がある.一方TfR1とTfR2は発現形式が異なるもののこれらの過剰発現が鉄蓄積を促進させる可能性が示唆された. |
索引用語 |
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