セッション情報 シンポジウム8.

NAFLDの病態・予後・治療

タイトル

S8-08 非アルコール性脂肪肝炎肝細胞癌発癌例の特徴と発癌後の予後

演者 八辻賢(東京女子医大消化器内科)
共同演者 橋本悦子(東京女子医大消化器内科), 白鳥敬子(東京女子医大消化器内科)
抄録 【目的】我々は高度線維化を呈した非アルコール性脂肪肝炎(NASH)症例をprospectiveに経過観察し肝不全特に肝細胞癌(HCC)が重要な予後規定因子であること5年発癌率は15.6%発癌risk factorは線維化の進行と年齢であることを明らかにした(Hepatology 2005 suppleGastroenterology2005supple).今回はHCCの特徴と発癌後の予後に関して検討を行った【方法】1990年~2007年7月に当院で臨床病理学的にNASHと診断した390例のうちHCC合併例30例を対象としHCCの特徴と発癌後の再発危険因子をCOX比例ハザードモデルを用いて検討した.【結果】対象は男性18例(60%)発癌年齢中央値70歳(54歳~89歳)生活習慣病の合併率は肥満67%糖尿病77%高脂血症33%高血圧40%であったNASH診断後のHCC発癌例は9例同時診断は21例であった. HCC診断時臨床的に肝硬変と診断されたのは21例AST/ALTの中央値は44/42AFP陽性が30%PIVKA-2陽性が57%であった. HCCは単発が63%主腫瘍径は18~83mm画像診断で特徴的所見を呈したのは90%であった.非恥部の肝組織はStaging F3以上が87%Grading中等度以上が47%であった癌部肝組織は14例で得られ索状型が79%分化度は中分化型が79%であった.また30%の症例で脂肪化やマロリ剛体を認めた.治療後の初回画像診断で遺残なしと診断した22例中19例(86%)で再発を認め再発までの期間は中央値29ケ月(3~80ヶ月)であった.HCC再発の危険因子は男性(HR153)背景肝の線維化(H.R.36.8)HCC5cm以上(H.R 772)であった.【結論】NASH-HCCではその再発にHCCの大きさに加えて背景肝の線維化と性差が関与していた.
索引用語