セッション情報 |
シンポジウム2(消化器病学会・肝臓学会合同)
C型肝炎治療の最前線
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タイトル |
消S2-11:C型肝炎ウイルス薬剤耐性クローンの次世代ゲノムアナライザー解析
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演者 |
高橋 健(京都大・消化器内科) |
共同演者 |
那須 章洋(京都大・消化器内科), 丸澤 宏之(京都大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】 C型肝炎ウイルス(HCV)感染は多様な変異ウイルスクローンの集合体より構成され、各症例における感染ウイルスクローンの違いは、次世代治療としてその高い治療効果が期待されているDirect Acting Antiviral (DAA)に対する治療反応性の決定においても重要な役割を担っていると考えられている。本研究では、次世代ゲノムアナライザーを用いた大規模ウィルスクローン解析により、テラプレビルなどのDAAに対する薬剤耐性ウイルスゲノムの潜在頻度とそのダイナミズムが今後の治療展開とどのように関連しているかを明らかにすることを目的とした。【方法】 慢性C型肝炎未治療患者16例を対象とし、Illumina Genome Analyzer IIを用いた大規模並列シーケンシング法により、各症例におけるHCVクローンの全塩基配列の同定と変異ウイルス解析を行った。また、インターフェロン+リバビリンを軸とした抗ウィルス療法により、治療前後のテラプレビル耐性クローンの構成比率がどのように変化するかについて評価を行った。【成績】 次世代シーケンサー解析により平均1,700クローンのHCV全長ゲノム配列が各症例において同定され、治療前からNS3/4Aプロテアーゼ・NS5Aポリメラーゼ阻害剤に対する既報の薬剤耐性ウイルスが様々な割合で潜在していた。例えば、テラプレビル耐性変異であるT54S/Aは74%、V36A/Mは44%、A156T/Vは26%の症例の血中に検出された。抗ウィルス治療の開始後、血中HCV RNA低下の乏しい治療反応不良例では、ウィルス多様性の有意な減少を認めず、テラプレビル耐性ウィルスクローンも持続的に陽性を示す傾向にあり、治療により耐性ウィルスが排除されないことが示唆された。【結語】 C型慢性肝炎の未治療例においては、DAAに対する薬剤耐性ウイルスが広く潜在し、インターフェロンを軸とした抗ウィルス治療への反応不良例では薬剤耐性ウィルスが排除されない可能性が示唆され、治療薬の選択、治療適応例の選別には慎重な判断を要するものと考えられた。 |
索引用語 |
C型肝炎, 次世代シークエンス |