セッション情報 パネルディスカッション20(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

大腸EMR / ESDの現状と適応

タイトル 内PD20-15:

最大径2cm未満の大腸SM癌に対する内視鏡治療法選択に関する検討

演者 永田 信二(広島市立安佐市民病院・内視鏡内科)
共同演者 田丸 弓弦(広島市立安佐市民病院・消化器内科), 平野 大樹(広島市立安佐市民病院・消化器内科)
抄録 【背景】大腸SM癌の適応拡大が議論されているが,大腸SM癌の完全摘除生検としての内視鏡治療選択(ESDを選択するかEMRを選択するか)に関する報告は少ない。【目的】内視鏡治療施行大腸SM癌最深部から深部断端までの実測値から最大径2cm未満の大腸SM癌に対する治療法選択について検討する。【対象と方法】内視鏡治療施行大腸SM癌55病変を対象に治療方法別(EMR:34病変,ESD前期:10病変,ESD後期:11病変)にSM癌最深部から深部断端までの実測値(μm)とSM浸潤実測値,部位,病型の関係について検討した。【結果】EMR,ESD前期,ESD後期別の腫瘍径は,13.9±6.1mm,19.5±11.5mm,19.7±12.7mm,SM浸潤度(1000μm未満,1000μm以上)は(7,27),(3,7),(4,7),部位(結腸,直腸)は(24,10),(3,7),(6,5),病型(陥凹なし,陥凹あり)は(25,9),(8,2),(10,1)であった。SM癌最深部から深部断端までの実測値は,EMR:968±687μm,ESD前期:809±1133μm,ESD後期:1192±874μmでESD後期において一番長かった。部位別(結腸,直腸)では,EMR(1083±701μm,690±597μm),ESD前期(360±260μm,1001±1327μm),ESD後期(985±764μm,1441±1020μm) でESDの方が長かった。病型別(陥凹なし,陥凹あり)では,EMR(1045±774μm,754±285μm),ESD前期(955±1234μm,223±175μm),ESD後期(1270±881μm,414μm)でいずれも陥凹なしの方が長かった。SM浸潤実測値別のSM癌最深部から深部断端までの実測値は1000μm未満ではEMR:627±302μm,ESD前期:263±143μm,ESD後期:740±649μm,1000-2000μmではEMR:885±641μm,ESD前期:160±5,ESD後期:1289±1067μm,2000μm以上ではEMR:1157±785μm,ESD前期:1418±1395μm,ESD後期:1571±946μm でいずれもESD後期の方が長かった。【結論】最大径2cm未満の大腸SM癌に対してESDを選択する場合,ESD導入初期ではEMR,ESD後期に比べSM癌最深部から深部断端までの実測値が短く深部断端陽性になる可能性があり注意が必要である。大腸SM癌に対してESDを行う場合は手技の習熟に努めSM剥離深度の設定に留意することが必要と考えられた。
索引用語 大腸SM癌, 大腸ESD