セッション情報 |
シンポジウム8.
NAFLDの病態・予後・治療
|
タイトル |
S8-10 "2nd hit"をターゲットとしたNASHに対する抗酸化療法の有用性と限界-治療前後の組織学的評価を含めて-
|
演者 |
角田圭雄(市立奈良病院消化器科) |
共同演者 |
酒井恭子(市立奈良病院消化器科), 金政和之(市立奈良病院消化器科) |
抄録 |
【目的】NASHにおける”2nd hit”には酸化ストレスが関与することから当院ではビタミンE(VE)潟血療法(Sumida Y et aL Hepatol Res 36:315-212006)などの抗酸化療法を中心に行っておりその有用性と課題について治療前後の組織学的評価を含めてretrospectiveに検討した.【方法】対象は2001年10月から2007年3月までに肝生検によって診断したNASH 61例.治療内容はVE単独(VE群)27例潟血療法単独(P群)2例両者併用(P+VE群)11例UDCA単独群(U群)11例.なおうち16例(男:女=4:12平均年齢639(23-80)歳VE群9例P+VE群5例U群2例)については1回目の肝生検から平均27.9(24-33)か月後に再度肝生検を施行し治療前後のALT値IV型コラーゲンー7S(IV-7S)HOMA-IR組織所見について比較検討した.【結果】1)VE群P群P+VE群の何れもALT値IV-7Sを有意に低下させたが且OMA-IRは有意な変化を認めなかった.U群ではALT値が改善せず途中で他剤へ切り替えた例を5例認めた.2)2回肝生検を施行した16例は2回目の肝生検も全例NASHであった.Gradeは改善4例不変11例悪化1例stageは改善10例不変4例悪化2例steatosisは改善5例不変9例悪化2例と線維化の改善が比較的良好であった.ALT値IV-7Sの低下は良好であったがIV-7Sの上昇した例は線維化の悪化を認めた。HOMA-IRは8例で改善するも4例が悪化しその全例でstageあるいはsteatosisが悪化していた.【結論】NASHの経過観察においてはALT値のみでなくIV-7日目・P HOMA-IRなどを経時的に追跡し必要により組織学的評価を加える必要がある.VEや潟血といった抗酸化療法はALT値の改善に加えて線維化の改善も期待できNASHに対する第一選択となり得る.しかしインスリン抵抗性の増悪する例では組織学的改善が得られず1st hitに対する治療も重要であることが示唆された. |
索引用語 |
|