セッション情報 |
シンポジウム8.
NAFLDの病態・予後・治療
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タイトル |
S8-11追加 NAFLDに対する低用量ピオグリタゾン投与の有用性
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演者 |
池嶋健一(順天堂大学消化器内科) |
共同演者 |
柳沼礼子(順天堂大学消化器内科), 渡辺純夫(順天堂大学消化器内科) |
抄録 |
【目的】メタボリックシンドローム(MetS)に伴うNASHではインスリン抵抗性改善薬であるチアゾリジン誘導体ピオグリタゾンの有用性が示唆されている.私たちはMetS動物モデルであるKK-Ayマウスなどを用いてピオグリタゾンには脂肪肝に伴う肝再生不全や肝の炎症線維化進展に対しての改善効果があることを証明してきた.しかし日本人NAFLD患者でのピオグリタゾンの有用性および至適用量設定については十分検証されていない.そこで今回私たちはインスリン抵抗性を有するNAFLD患者に対する低用量ピオグリタゾン投与の有効性と安全性を検証した.【方法】インスリン抵抗性(HOMA-R:2.5以上)を有するNAFLD患者18名を無作為に低用量ピオグリタゾン(75mg/day)投与(A)群および無投薬(N)群に分け3~12か月継続して肝機能検査値の推移を観察した.またピオグリタゾン常用量(15~30mg/day)投与NASH(B)群10名のデータを合わせて解析した【成績】AN群共に3か月後ではほぼ同様にAST・ALTおよび7GTP値の改善傾向を認めたが6か月以降ではA群で一層低下したのに対しN群ではほぼ前値と同様のレベルにまで再上昇した.血清フェリチン値はAN群ともに有意な低下傾向を認めた一方A群では全11例が副作用無く服薬継続可能であったがB群では60%の症例が3か月以内に浮風気分不快などの副作用発現のため服薬中止ないし減量しており副作用発現率が有意に高かった(p〈0.05).なおB群で服薬継続可能な例に限ると12か月後の時点でも血清肝酵素値の有意な低下傾向が維持されており3年以上継続投与した例では肝線維化を含む組織像の著明な改善傾向も確認された.【結論1欧米の報告ではNASH症例に対しチアゾリジン系薬剤の中・高用量投与での有用性が示唆されているが日本人のNAFLD症例に対しては低用量のピオグリタゾン投与でも十分な治療効果が得られ常用量での導入は副作用発現の観点からむしろ望ましくないと考えられた. |
索引用語 |
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