セッション情報 シンポジウム8.

NAFLDの病態・予後・治療

タイトル

S8-12追加 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療に高脂血症治療薬atorvastatinは有効か?

演者 兵庫秀幸(広島大学分子病態制御内科学)
共同演者 田妻進(広島大学病態薬物治療学), 茶山一彰(広島大学分子病態制御内科学)
抄録 【目的】我々はメタボリックシンドロームの合併が多い非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療では食事運動療法とともにメタボリック構成因子を確実に治療することが有用であることを報告してきた.本研究では高脂血症を伴うNASH治療におけるHMG-CoA還元酵素阻害剤の有効性について多面的に検討した.【方法】対象はBrunt分類に基づいて診断したIlaIlb型高脂血症を伴うNASH31症例(男性20例女性11例年齢27~68歳)2年間アトルバスタチン10mg/日の投与を行い治療前後におけるトランスアミナーゼ値肝線維化マーカーアディポサイトカイン血清脂質プロファイル血清長鎖脂肪酸24分画7590GTTによる血糖インスリンの分泌パターン画像変化組織学的変化について検討した.【結果】治療前後におけるBMIには有意な変化を認めなかった(前27.1±2.7後26.7±2.9).治療に伴い血清トランスアミナーゼ線維化マーカーフェリチンTNF一αhs-CRPの優位な減少あるいは正常化アディポネクチンの増加総長鎖脂肪酸量の低下(リノール酸とアラキドン酸の有意な低下)肝脾CT値の改善を認めた.また治療前後でインスリン抵抗性の改善傾向(HOMA-IR前3.5±2.2後3.0±1.6)は認めたものの有意差はなかった.治療前に認められた食後高血糖インスリン過分泌と総インスリン分泌量の増加は治療後も不変であった.治療前後で肝生検を施行できた症例は17症例でNAFLD activity scoreでは76%が改善24%が不変であった.線維化stageは改善症例11%不変65%悪化24%であった.【結論】アトルバスタチン治療により臨床所見は改善・正常化したボ組織学的変化との間には解離が認められた.本研究から食後高血糖・高インスリン血症が存在する場合合わせて治療することの重要性が示唆された.
索引用語