セッション情報 シンポジウム8.

NAFLDの病態・予後・治療

タイトル

S8-13追加 高血圧合併NAFLD患者に対するテルミサルタンの治療効果の検討

演者 森田恭代(清和会長田病院)
共同演者 上野隆登(久留米大学先端癌治療研究センター肝癌部門), 佐田通夫(久留米大学内科学講座消化器内科部門)
抄録 メタボリックシンドロームはインスリン抵抗性を背景とする多危険因子集積群である。インスリン抵抗性から高インスリン血症が生じ糖代謝以外に腎Na代謝交感神経系レニン・アンジオテンシン系脂質代謝などに影響を与え高血圧症代謝異常症を発症することが知られている.一方非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)はメタボリックシンドロームの肝での表現型ともいわれておりその症例には高血圧合併例も多い.インスリン抵抗性の治療にはPPARγのリガンドであるチアゾリジン誘導体であるピオグリタゾンが第一選択であるが高血圧には適応がないそこで今回高血圧合併NAFLD患者にアンジオテンシン2受容体拮抗薬(ARB)のひとつでかつPPARγのpartial agonistであるテルミサルタンを投与し肝機能糖代謝脂質代謝内臓脂肪アディポネクチン血圧等に対する効果を検討した.【対象】対象は食事・運動療法が無効で高血圧を合併したNAFLD患者12例.初回治療例6例他の薬物からの変更6例.テルミサルタン40mgを24週間投与し治療前後で腹囲内臓脂肪面積血中のASTALT脂質空腹時血糖HOMA-IRHbAlc高感度CRPアディポネクチン等を比較した.【結果】治療後体重内臓脂肪面積の軽度の低下は認められたが有意差はなかった.しかしASTALTT.chol中性脂肪空腹時血糖は有意に低下したFFA高感度CRPの有意な改善も認められたHOMA-IRは低下したが有意な差ではかった.【結論】高血圧を合併したNAFLD症例にPPARγのpartial agonistとARB機能を持つテルミサルタンを投与した結果血圧をはじめ肝機能脂質代謝糖代謝の改善が得られた高血圧症を合併したNAFLDの薬物療法としてテルミサルタンの有用性が示唆された.
索引用語