セッション情報 シンポジウム9.

ウイルス肝炎・肝癌に対する生体防御

タイトル

S9-01 HBVにおけるG to A hypermutationの変化とその臨床的意義

演者 柘植雅貴(広島大学大学院医歯薬学総合研究科分子病態制御内科学)
共同演者 野口千笑(広島大学大学院医歯薬学総合研究科分子病態制御内科学), 茶山一彰(広島大学大学院医歯薬学総合研究科分子病態制御内科学)
抄録 【背景・目的1肥Vはウイルスゲノムの変異により抗ウイルス治療に対する耐性を獲得することは良く知られている.近年我々はB型慢性肝炎患者血清中にGからAへの多数のmutaion(G to A hypemluta廿on)を有するHBVゲノムが存在しその変化が生体内のAPOBEC3G(A3G)により引き起こされる可能性をinvitroin vivθのモデルを用いて報告してきた.さらにG to A hypermutationの定量的評価系(TaqMan3D-PCR)を構築しA3GによりGto A hypermuta廿onを生じたHBVゲノムが著明に増加することを報告してきた.今回我々はt B型官田肝炎症例の臨床経過とG to A hypermutation量の変化との関連について検討を行った.【対象・方法】対象は1999年から2006年に広島大学病院および関連病院で診療を行ったB型慢性肝炎急性増悪症例17例である.この17例の患者保存血清を用いて且BV DNAを抽出後TaqMan3D-PCRにてhypermutationを伴うHBVゲノム量を経時的に測定し患者の臨床経過とhypermutation量の変化の関連性について検討した【成績】検討を行った17症例のうち急性増悪時にIFN治療を行った症例は13例だった.これまでにIFNによりA3Gの発現が誘導されることが報告されているが本検討ではIFN治療前後および治療中におけるHBV hypermutationの増加は確認できなかった.一方急性増悪をきたした際にはALT上昇に伴いhypermutationの増加を伴う場合と変化しない場合が存在していた.hypermutationの著明な増加(5倍以上)を伴うALTの上昇ではその後HBV DNA量は速やかに低下したのに対しhypermutationの増加がほとんど認められない場合ではHBV・DNA量の減少率は低かった.【結論1 B型慢性肝炎急性増悪はHBV持続感染に対する生体防御機構の一つであるがHBVゲノムのhypermutationの著明な増加はより強い生体防御反応を示すと考えられ急性増悪後により著明なHBV DNAの減少が期待できることが示された.
索引用語